関西と近畿というコトバの起源。同じ西日本を指す言葉でも実はエリアが違います

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週末は調べごとを兼ねて、奈良と京都に行っていた筆者です。

さて、奈良や京都のあたりは「関西」や「近畿」などと呼ばれています。この「関西」と「近畿」という二つの言葉は、現在ではほぼ同じ地域を指す言葉として使われていますが、この二つの言葉の起源をさかのぼると、元来、意味が異なっていることが分かります。

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関西と近畿というコトバの起源

「関西」は、平安時代には「近江逢坂関以西の地」、鎌倉時代以降は「鈴鹿・不破・愛発の三関以西の諸国」、江戸時代頃には「箱根関以西の地」と認識されていました。

つまりこの言葉は、主に関東との対比で用いられるようになった言葉だったのです。

それに対して「近畿」の「畿」とはもともと古い日本語で、「都」のことを意味し、「近畿」は「皇居の所在地に近い国々」が語源となっています。現在の京都、大阪、滋賀、兵庫、奈良、和歌山、三重の2府5県を含む地域を意味しています。

端的にいえば、「三重県」を含まなければ「関西」、逆に含まれる場合は「畿内」と考えることができるようです。

用途によって使い分ける「関西」と「近畿」

現在、「関西」と「近畿」の違いが法律などでは定められていないため、これら二つの言葉の使い分けの基準やルールは存在しません。ところが、「近畿」には、「畿内」という由緒正しい地という由来があるため、行政機関や教科書などに用いられることが比較的多く、「関西」という言葉は民間企業で用いられることが多いようです。

新撰日本全図(部分)

また、「関西人」という呼び名はあっても「近畿人」という呼び名は全国的には馴染みがないことからもわかるように、広く一般的に用いられているのは「関西」です。

ちなみに、似たようなエリアを指す言葉で、「京阪神」という言葉がありますが、こちらは京都市、大阪市、神戸市の3都市の総称、あるいはこれら3市を中心とした近畿地方の主要部を指して言うことが多いようです。

一見すると紛らわしい「関西」と「近畿」、そして「京阪神」という言葉ですが。きちんとそれぞれの言葉が使われてきた歴史的背景を考えると、しっかり使い分けできるのではないでしょうか。これを機会に、微妙なニュアンスの違いを上手に使い分けてみてくださいね。

参考:

【違い】「関西」と「関東」の違い おにまる調査隊チュリオ 知らない!『関西』と『近畿』の違いと使い分け例