漫画/榎本まみ

写真拡大

弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々<29>

 モラ被害妻から依頼を受けると、私は、まず相手方のモラ夫と面談するようにしている。

 殆んどのモラ夫は、「いきなり電話するな」と怒るので、まず、ご挨拶の手紙を送付してから、電話をする。

 先日、相手方の夫に電話した。夫は、妻側の弁護士と名乗った途端、横柄になった。妻側弁護士には、妻に準じた序列を与えたのだろう。そして、言った。

 「お前では話しにならない。アイツ(妻)と話をさせろ」

 アイツ(妻)と話をすれば、アイツを引き戻して、もとの生活に戻れると考えているのだろう。

◆モラ夫は、モラの自覚がありながらモラをする

 多くの被害妻、心理職、医療職の専門家たち、離婚弁護士(一部)は、「モラ夫にはモラの自覚がない」と主張する。しかし、これは間違っている。

 モラ夫たちは、うまく煽てて聞けば、自分がいかに妻の「指導」に苦労しているかをかなり正確に語ってくれる。

「(妻の)ものわかりが悪ければ、声が多少大きくなったりもしますよね」と訊けば、「声が大きいのは地ですから」と怒鳴っていることをあっさりと認める。

 妻の辛さについても、「指導はご尤もだけど、奥様は、いろいろ言われて辛かったようですよ」と振れば、「まあ、私も言い過ぎたかも知れないが、アイツ、精神的に弱いんですよ」などと、妻が辛いことも認めてしまう。

 以上、モラは、自らの行っているモラをしっかりと認識しているのである。しかし、支配者/夫として、妻に対する自らの「指導」(モラ)が許されているものと正当化し、反省はない。

◆モラ夫は剥いても剥いてもモラハラが出てくる、玉ねぎ男

 モラ夫は、すっとボケるのがうまい。自分の前言が不利に働くとみるや、「俺は、そんなことは言ってない。勝手に作るな」と妻に逆襲する。前言が否定できないと、「そういう意味じゃない」「本気で言ったのではない」などと逃げ、「(本気でないことも)わからないのか」と妻の理解力のなさを責める。

 それでも逃げ切れないと、「(俺に)そこまで言わせるお前が悪い」と妻に責任転嫁する、モラ夫は、剥いても剥いてもモラ夫なのである。

 以上、モラ夫は、自らの言動に責任をもつことは考えていない。その場しのぎのモラを繰り出し、妻をやり込めて、支配できればそれでよいのである。

◆モラ夫の「出てけ」「離婚するぞ」は単なる脅し

 モラ夫は、妻が言い返すと、「アルジ(主)への反抗」と激怒し、「出てけ」「離婚するぞ」と怒鳴る。しかし、多くの場合、これは単なる脅しである。モラ夫は、脅せば、妻が折れて、謝罪すると踏んでいる。別居、離婚を決断できない、逃げ出せるはずがないとタカをくくっているのだ。

 しかし、モラ夫が「出てけ」「離婚するぞ」と脅しをかけ続けていると、ある日、妻は、決断する。

 私は、日々、決断した妻たちの法律相談を担当している。妻は、「夫から離婚すると言われ、追い出されました」と説明する。私が、「モラ度の高い夫は、離婚に反対するので、調停は覚悟して下さいね」と説明すると、殆どの妻が「主人は離婚を希望しているので、離婚自体は問題ありません」と断言する。しかし、実際には、モラ夫は、容易には離婚に同意しない。

◆離婚調停、裁判で醜態を晒すモラ夫たち

 モラ夫は、離婚調停、裁判へ進むと醜態をさらす。典型的な例を紹介しておこう。

1、出てけと怒鳴ったのに、「勝手に出てった」と主張する。
 LINE履歴が残っていて否定できなくなると、真意ではなかったなどと見苦しい。妻が子どもを連れて出ると、「連れ去り」などと吠える。家事育児のできないモラ夫の元に子どもを残せるはずもないが、俺はイクメンだったなどと言い張ったりする。