「しんぶん赤旗」

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 共産党の生命線ともいえる機関紙「しんぶん赤旗」が、8月1日の時点で100万部を割りこんだ。ピークだった1980年の355万部から、3割未満まで落ち込んだことになる。党からすれば、赤旗は共産党の財政収入の9割を占めるため、このまま部数減に歯止めがかからないと、党の存亡にもかかわる重大な問題だ。

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 これを受け、財務・業務委員会責任者の岩井鐵也氏が、8月29日付「しんぶん赤旗」で、次のような異例の声明を発表した。

〈日刊紙・日曜版の読者が8月1日の申請で100万を割るという重大な事態に直面し、この後退が「しんぶん赤旗」発行の危機をまねいていることです。そして「しんぶん赤旗」の事業は党の財政収入の9割をしめるという決定的な役割を担っています。「しんぶん赤旗」の危機は、党財政の困難の増大そのものです(中略)党員拡大を根幹としつつ、党の財政の困難をなんとしても打開するために、読者拡大で必ず前進をかちとり、党勢拡大の連続的な前進・飛躍へと転じる契機にするための奮闘を心から訴えます。全党の力で「しんぶん赤旗」と党の財政を守ってください。お願いします。〉

「しんぶん赤旗」

党員の半数は赤旗日刊紙を読んでいない

「共産党は、赤旗の部数が300万部、200万部を切った際、いずれも何も言わなかった。100万部を切って、初めて財政危機を訴えたわけですが、これは余程のことですよ」

 と分析するのは、元共産党参議院議員の筆坂秀世氏。

「赤旗は、日刊紙が20万弱、日曜版が80万弱ということになっていますが、実際、日刊紙は18万部とされ、赤字と言われています。北海道から沖縄まで配達しなければいけないし、購読料は自動引き落としではなくて集金です。これが大変なんですよ。1990年に50万人近くいた党員は、今は30万人を切っています。平均年齢は60歳から70歳くらい、これではまともに活動できません。そのため集金を地方議員にやらせている地域もあるそうです。集金に行っても留守宅が多いから、購読料が2カ月分溜まってしまう場合があるといいます。しかし、だからといって、翌月、2カ月分は請求できないんです。請求すると、もう辞めますと言われるので、1カ月分は地方議員が自腹を切ることもあるとか。そこで効率の悪い日刊紙は電子化するという動きもでてきています」

 党員が30万人なのに対し、日刊紙が18万部。ということは、党員の半数近くは赤旗を読んでいないということになる。

「18万の読者がみな党員とは限りません。共産党にお世話になって、義理で購読している人が多いのです。あと、学校や大学、中央官庁も購読していますから、党員の半数は赤旗を読んでいないことになります。昔は、赤旗を購読するのが党員の最低条件と言われていました。読まない党員は除籍されました。ずいぶん時代は変わったものです」(同)

 政治資金収支報告書(2017年)によれば、共産党の収入は機関紙誌・書籍等事業収入が179億8771万円。党費が6億2841万円。あとは寄付が8億3732万円、地方党機関から納付金、その他で18億1211万円となっていて、計212億6555万円。一方、支出が214億6665万円となり、差し引きマイナス2億110万円の赤字である。前年からの繰越金が12億3238万円あるので、翌年への繰越金は10億3128万円だった。もっとも、党員の高齢化に伴い、党費を払わない党員が増えてきているというから、財政はじりじりと逼迫してきているのだ。

「あと10年もすると、現在30万人と言われる党員数はさらに減るでしょう」(同)

 党員数も赤旗の部数もじり貧状態では、新たな資金源を探すしかあるまい。

共産党だけは毎年辞退している政党交付金を受け取るのはどうか。政党交付金は国会議員の数や直近の国政選挙の得票率(衆院総選挙と過去2回の参院選挙)応じて、総務大臣に届け出を行った政党に交付される。今年は、最も多い自民党が約176億4772万円、立憲民主党が36億4221万円、公明党が30億1634万円となる見通しだ。衆院議員12人、参院議員13人の共産党は、もし申請すれば10億円ほどになりそうだが、

「94年に政党助成法を含む政治改革4法が成立したとき、共産党は違憲だと主張しているのです。政党交付金は、国民1人あたり年間250円で額が決まります。赤ちゃんとか選挙権のない人も広く含めるので、これは思想と信条の自由に反し、違憲と主張したのです」(同)

 実際、95年7月21日付朝日新聞では、こう報じられている。

〈共産党は20日、政党交付金が各党に交付されたことについて「政党助成制度は思想・信条の自由を蹂躙し、支持しない政党にも配分される違憲の制度。支持しない人から税金を略奪し、選挙で使うなど常識では考えられない」として、政党助成法の廃止を求める聴涛弘政策委員長名の談話を発表した〉

「もう、違憲と言ってしまった以上、今さら覆せないでしょう。企業や団体からの寄付、政党交付金を受けないことを党の誇り、自慢にしてきたのですから、違憲と言ったのは、早とちりでしたとは絶対言えません。逆に、共産党が政党交付金を申請するようなことになったら、支持者に愛想を尽かされて、党は存在できなくなりますよ」(同)

 あとは、党勢拡大して、党員を増やす。赤旗読者を増やすしかないだろうが、これも難しそうだ。

「党大会があるたびに、党勢拡大を訴えていますが、それが成功したのは1970年まで。後の半世紀は成功したためしがありません。現在、マルクス主義の講義を開いている大学はどれくらいあるでしょうか。昔は、社会主義が人類の進歩の方向を示すと思っていましたが、今は、党員でもそれを信じていないというのが現状です。だから、若い人は見向きもしませんよ。選挙では消費税増税反対を訴えていますが、消費税廃止を支持する人はれいわ新選組の方に同調するでしょう。もはや共産党は、人を引き寄せるツールがなくなっています。このまま党員が減り続ければ、自然消滅は逃れられないかもしれません」(同)

2019年9月17日 掲載