幼児教育・保育無償化したらお金を使うべきもの・使ってはいけないもの。賢い選択はどれ?

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10月から幼児教育・保育無償化が始まります。小さな子どもを育てているママにとっては、10月以降のお金の使い方は気になるところ。そこで、ファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんに、使うべきもの、使ってはいけないものについて教えてもらいました。

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まず、「幼児教育・保育の無償化」について整理すると、これは国の政策により、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子どもたち、 住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでの子どもたちの利用料が10月から無料になるというものです。

実際には、子どもの年齢やきょうだいの有無、保育所か幼稚園か、認定こども園か、幼稚園の預かり保育か、認可施設か認可外施設か、などによって無償になる金額が異なり、月額で1,13万円から4.2万円までという上限があります。

また、通園送迎費、食材料費、行事費などは、これまでどおり保護者の負担になります。

それを踏まえて、無償化によって使わなくてよくなった分のお金は、どこに使ったら良いのでしょうか? この質問に岩城さんは以下のように答えます。

1.貯蓄をしてください

「ともかく、もともとはないはずだったお金ですので、使わずに貯蓄するべきです」と岩城さんは強調します。

では、具体的に貯蓄はどうすれば良いのでしょう?

「まず必要貯蓄率を求め、毎月いくら貯めなければいけないかを出してください。必要な貯蓄額は人それぞれだからです。『人生設計の基本公式』を使えば簡単に求められます(岩城さんのHPで、自分の数字を入力すると自動で計算可能)。

決めた金額をしっかり貯蓄していくのが基本です。

ただ、今は超低金利で、預貯金でお金を増やすことはできません。イデコやつみたてNISAなどを使って『長期・分散・低コスト』を守って、お金を増やすことも大切です」

岩城さんは、「お金の人生設計」を始める5つのステップを勧めています。

ステップ1.「人生設計の基本公式」を使って「必要貯蓄率」を求める→月々どのくらい貯蓄をしなければならないかを明確にする

ステップ2. 自分がいくらリスク商品(株や投資信託)を持てるか考える

ステップ3. お金の置き場所を作る(1.いつでも出し入れできる普通預金、2.当分使う必要ないお金は定期預金や個人向け国債「変動10」に、3.ゆっくり増やしたいお金は積み立てNISAやイデコに)

ステップ4. 資産全体で資産配分(アセットアロケーション)を決める→例えばイデコで外国株式のインデックス投信、つみたてNISAで日本株式(TOPIX)インデックス投信というように分散します)

ステップ5. 商品を選択する(商品の選択は一番最後です)

さらに詳しく知りたい方は、岩城さんの記事や書籍を読んでみてください。

2.仕事と育児の両立が大変な場合、家事代行サービスの利用料に充てることも可

岩城さんは「働いているママの場合、仕事を続けることが大切」と言います。ですから、育児との両立が大変な場合は、家事代行サービスを利用してもいいそうです。その利用料は、無駄な出費ではないということになります。

掃除・洗濯・食器洗い・買い物・料理など様々なサービスが利用できる家事代行も、最近は業者が増えており、サービス内容や利用料もいろいろあるので、自分に合ったところをしっかり選びたいですね。

「上記2つ以外に推奨できる使い道はありません」という岩城さんに、今度は逆に、お金を使わないほうがいいところは何か聞いてみました。

1.レジャーに充てるのはお勧めできません

無償化によってお金を使わなくてよくなったからといって、旅行や遊びに出かけたり、娯楽費にあてようと考えていたなら、それは改めましょう。その分、余裕ができたとは考えないほうがいいようです。

2.習い事を増やすなどはしない方が良いでしょう

子どもには、いい教育を受けさせたいと思うのが親心だと思いますが、小さい頃から習い事にお金をかけすぎるのも良くないと考えたほうがいいかもしれません。

岩城さんによると「進学費用、教育費は、年々増加傾向にあります」とのこと。

「無償化分は児童手当とともに、子どもの将来のためにしっかり貯蓄していくべきです。子どもの進路の希望や家計の状況は想定通りにいかないこともあると考えて、貯蓄を積み上げていくことが大切です」(岩城さん)

この時、貯蓄の方法として、「学資保険や外貨建て保険などは不適切」だそうです。

「学資保険は、世の中の低金利を反映して、返戻率(契約者が支払う保険料の総額に対して受け取ることができる「満期金+祝い金」の比率)が下がっており、とても教育費をまかなえる状況ではありません。

外貨建て保険は、“保険”という名前がついているものの、実際は運用商品で為替リスク以外にもリスクがあり、商品性が複雑でコストも高いため、お勧めできません」

先ほども指摘がありましたが、貯蓄をするには普通預金、定期預金、イデコやつみたてNISAなどを選び、堅実に子どもの進学に備えるようにしましょう。

【取材協力】岩城みずほさん

オフィスベネフィット代表。

松山市出身。慶應義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年活動。報道番組、パブリシティ番組、選挙特番などのほか、BS、ラジオ、各種司会、リポーターを務める。その後、会社員を経て、2009年独立、現在に至る。

コンサルティング、執筆、司会、企画、セミナー講師などを行っている。日本FP協会会員。著書『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)『腹黒くないFPが教えるお金の授業』(三笠書房)『人生にお金はいくら必要か』(東洋経済新報社)『そこ、ハッキリ答えてください!「お金」の考え方このままでいいのか心配です。』(日本経済新聞出版社)など多数。