ワックスやコーティングの役割は塗装の劣化を抑えること

 塗装というのは樹脂なので、劣化はどうしても避けられない。そのため水分や汚染物質などから保護する必要があるが、その際に使用するのがワックスやコーティングだ。

 ボディに塗るものはなんでもワックスと呼ぶ傾向もあるが、ワックスとコーティングはまったくの別物。ワックスは油分などを主成分として、塗装の上に付着しているだけ。そもそも持続期間は短いし、保護力もそこそこだ。一方、ツヤなどには優れる。コーティングは完全なる化学薬品で、塗装に対して化学的に結びつくので持続力だけでなく、保護力も強い。

 以前であればツヤに欠けるとか、施工に手間がかかるなどの問題があったが、最近のユーザー向けのものなら逆に洗車あとの濡れたボディに直接かけられたりして非常にラク。ツヤもかなりクリアになって、満足度も高くなってきた。

コーティングはポリマー系とガラス系の2種類に分けられる

 ただ、ひと口にコーティングと言っても、ワックス同様に種類がある。大きく分けると、ポリマー系とガラス系で、前者はフッ素やテフロンを主成分とした樹脂。施工が簡単だったり、価格が安かったりするが、もちは半年から1年ぐらいと、そこそこ。ワックスの延長線上にあるようなイメージだ。

 ポリマー系は、コーティングを広めた立役者でもあるのだが、最近人気で主流になっているのがガラス系だ。ガラス系と呼ばれるのはガラスと同じ、シランやシラザンなどといった珪素系が主成分だから。

 これも細かく分類すると、施工しやすいようにほかの成分を混ぜているガラス系コーティングと混ぜものが少ないガラスコーティングに分ける場合もある。しかし、持続性やツヤなどに差はあるものの、効果の傾向としては似たようなものだ。

 ガラス系の特徴は無機質ならではの硬い被膜で、キズを防止して持続期間も長いものが多い。ツヤもガラスのような透き通ったクリアなものとなる。プロが施工するものもこちらがメインだ。

 そしてコーティングにおいて成分以外でもうひとつ、違いをおさえておきたいのが水に対する効果で、撥水と親水だ。前者はコロコロと水玉ができるもので、後者は水膜がベタッとできるものを指す。

 基本的には好みで選ぶのが良いだろう。撥水はコロコロとした水玉ができるのは気持ちいいが、夕立などのあとで急に太陽が当たった場合、レンズ効果で塗装が点々と焼けることもある。親水は汚れが水膜と一緒に流れ落ちるので綺麗さを保ちやすく、レンズ効果もないが、見た目についてはベタっとした感じがして水玉ほどは気持ちよくない。

 最近では疎水という効果も目にするようになってきたが、これはより流れ落ちやすい親水の一種と言えるものだ。

 コーティングはワックスと比べて価格も高いだけに、撥水や親水の効果や持続性などをよく検討したうえで、購入するなり、プロに頼むようにしたい。