大勢の観客を惹きつけたエアレース。機体はフランスのミカ・ブラジョー=7日午後、千葉・美浜区の幕張海浜公園(酒巻俊介撮影)

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 「空のF1」と称される小型単発プロペラ機による世界レース「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」が7、8両日に幕張海浜公園(千葉市美浜区)で開催された。

 千葉では5年連続の開催だったが、興行上の理由により今年でレースは幕を閉じる。そこで、興味はあったが知識のない記者が取材に足を運んでみた。(白杉有紗)

 大会では、今回初めて離着陸場に木更津市の陸上自衛隊木更津駐屯地が利用され、7日午前9時から報道陣に向けて「ハンガーウォーク」という見学会も開催された。ハンガーとは「機体格納庫」のことで、レースに出場する選手らのブースがそれぞれ区切られ、これから大空を舞うであろう機体がズラッと並べられている。

 ハンガーの前では、多くの報道陣が日本人唯一のパイロットでアジア人初のレッドブル・エアレースチャンピオン、室屋義秀選手(46)を囲み、取材を行った。

 その後、記者は木更津駐屯地から約40キロ離れた幕張の会場へ移動し、レースを観戦。最高時速370キロ、最大重力加速度12Gの中で、約25メートルもある巨大なパイロンを周回して飛行タイムを競う。初めての観戦だったが、機体から煙を出しながら垂直になってパイロンの間を高速飛行する姿に圧倒された。

 見せ場はレースだけではない。7日の予選で、ベン・マーフィー選手(英国)が翼にひっかけてパイロンを切ってしまったとき、観客の注目を集めたのはその修復だった。パイロンの赤い部分は、頑丈だが接触しても飛行機に絡まらないように切れやすい素材で作られているという。

 ぱたっとパイロンが倒れてしまうと、すかさず「エアゲーター」という専門スタッフが駆け寄り、5人1チームで素早く修復。作業は90秒ほどで終了させなければいけないといい、試合中も驚きの早さで修復を終えた。

 そのパイロンの中を見学できるメディア向けの「パイロンツアー」にも参加。実際にレースで使われているものと同じパイロンの内部に入ることができた。

 内部の気圧が下がらないように、パイロンの底の部分から素早く2人ずつ入っていく。中には気圧を一定に保つための巨大な送風機が設置され、「ゴー」という音が響き渡る。試合中と同じ状態になるまで気圧を上げてもらうと、耳がキーンとするような感覚があった。

 7日の予選を5位で通過した室屋選手は8日の決勝で劇的な逆転劇を見せ、今期3勝目を挙げて優勝。惜しくも1ポイント差で総合優勝は逃したが、千葉で3度目の優勝となり、ホームで有終の美を飾った。2日間で10万人もの来場があり、惜しまれながら幕を閉じることとなった、レッドブル・エアレース。記者にとっては最初で最後となったこのレース観戦だが、その迫力に最後まで魅了された。