スピード、スタミナを兼ね備える大迫(左)と好調を維持する設楽(C)日刊ゲンダイ

写真拡大

「1億円男」の2人がガチンコ勝負だ。

東京五輪マラソン“最後の1枠”を決めるMGCはこんなに不公平

 2020年東京五輪マラソンの代表選考会(MGC=マラソングランドチャンピオンシップ)が、明日15日(男子8時50分、女子9時10分)スタートする。

■スポンサー収入年間3000万円

 30人が参戦する男子の中でも、特に注目されるのが設楽悠太(27)と大迫傑(28)の2人だ。

 設楽は昨年、2位に入った東京マラソンで2時間6分11秒の日本新記録を樹立。02年に高岡寿成がつくった記録を16年ぶりに5秒更新。日本実業団陸上競技連合から1億円の報奨金を得た。

 すると10月には、大迫がシカゴマラソンで2時間5分50秒の3位フィニッシュ(賞金2・5万ドル=約267万円)。約7カ月で設楽の日本記録を更新し、1億円のボーナスをゲットした。

 大迫は15年3月に、実業団を辞めてナイキ・オレゴン・プロジェクトに所属。プロランナーとなり、今ではナイキ、マニュライフ生命、デルタ航空、ソニー、明治とスポンサー契約を結んでいる。それだけで年間収入は3000万円以上ともいわれている。

■東京マラソンだけで1.1億円プラス高級車

 設楽はどうか。

「実業団選手は正社員ではなく、ほとんどが『契約選手』。設楽が所属するホンダでの給料は、27歳正社員の1・5倍前後ではないか。また、レースで得る賞金より出場料がメインであることが多い。公表はされていないが、設楽らのトップ選手は国内レースでも100万〜300万円。かつては、出場料が1000万円だった選手もいる。ホンダからの給料は出来高のようなものが細かく設定されているはずです。例えば、主要国内レースで2時間8分台ならいくら、1万メートルが27分ならいくらとか。給料とレース結果での出来高、出場料などで、年収は1000万〜1500万円前後だろう」(陸上関係者)

 ちなみに設楽は昨年の東京マラソンで日本記録更新のボーナス1億円の他に、大会から2位の賞金400万円と日本記録ボーナス500万円も受け取った。さらに自社からは「ご褒美」としてホンダの高級セダン、レジェンド(約700万円)も贈呈された。

「陸上選手は現役時代、あまりカネを使う機会がない。トップ選手なら今はマラソンでも金が稼げる時代です。設楽のようなトップクラスの選手なら引退する時、1億円以上は貯まっているはずです」(前出の関係者)

 もっとも、これはトップクラスの選手の話。血のにじむような練習をしても、収入という点では、他のプロスポーツとの格差は大きい。こんなに費用対効果が悪いスポーツはないかもしれない。

■スポーツライター武田薫氏の目

 優勝は2時間12、13分と遅いタイムになることが予想される。

「4強」といわれる井上大仁(26)、服部勇馬(25)、設楽を中心とした優勝争いになるとみられる。彼らは駅伝で鍛えた駆け引きには定評がある。

 設楽は30キロを過ぎてから後半の勝負に徹してくるだろう。

 問題は、注目度ナンバーワンの大迫の出方である。

 誰もが2位までに入り、東京五輪の出場枠を得たい。それは大迫も同様だろうが、2時間5分50秒の日本記録保持者。

 所属チームは、2時間を切るタイムを目指しているプロ集団である。遅いペースに合わせて集団に入り、勝利だけを狙いにいくなら、何のためのプロなのか。

 大迫らしいパフォーマンスを見せながら、ぶっちぎりで勝利し、同時にタイムも狙いにいく。そんな期待感もある。

 優勝タイムが2時間15、16分まで遅くなるようなら、多くの選手にチャンスが生まれる。

 無名の“ポッと出”のような選手が勝ったら、マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦氏ら日本陸連は困惑するに違いない。