メキシコで、マヤ時代の頭蓋骨を研究するアリソン・ウィルソン氏。豪セントラルクイーンズランド大学提供(2019年9月13日提供、撮影日不明)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】人の死体は死後1年以上たっても大きく動くという研究結果を、オーストラリアの科学者がタイムラプス動画で撮影して証明した。この研究は、世界中の捜査関係者や病理学者らに影響を与えるとみられている。

 科学者のアリソン・ウィルソン(Alyson Wilson)氏は、毎月オーストラリア北東部ケアンズ(Cairns)から南東部シドニーに3時間かけて飛行機で通い、死体の腐敗の進行を確認した。研究対象は、シドニー郊外の人目につかない森林地帯に位置する、南半球で唯一の「死体農場」に保管されている70ある死体のうちの1体だ。正式名称「オーストラリア化石生成実験研究所(Australian Facility for Taphonomic Experimental Research、AFTER)」として知られるこの施設では、死体の変化に関する先駆的な研究が行われている。

 ウィルソン氏は13日、AFPに対し、死体の動きを17か月にわたって研究、撮影したところ、人は厳密には「安らかに眠ってはいなかった」と話した。

 ウィルソン氏は同僚の研究者らと、死亡推定時間を特定するのに通常使用されている方法を改善するためにタイムラプス動画を使用していたところ、研究の過程で死体がかなり動いていたことが分かったという。1件の事例研究では、まず、腕が体に近づき始め、その後、腕は体の両脇に広がる形になった。ウィルソン氏は、「こうした動きは、死体がミイラ化し、靱帯(じんたい)が乾燥するなど、死体の腐敗の進行に関連しているとみている」と述べた。

 豪セントラルクイーンズランド大学(CQ University)で犯罪学を学んだウィルソン氏が異色の研究を始めたのは、メキシコ旅行に行った後、マヤ(Maya)文明時代の骸骨の分析に協力するためだったという。

 ウィルソン氏は、「牧場で育ち、家畜が死んだ後の過程を見てきたためか、子どもの頃から死体がどう分解されていくのか興味を持っていた」と語り、「世界中のどこにも、死体の動きを明確に示した研究結果がなかったので、自分で解明することにした」と明かした。

 ウィルソン氏は、今回新たに分かった知識を使えば、身元不明の死体に関連付けられる行方不明者の数を絞り込むことができるかもしれないと期待を寄せている。

 死体の動きと分解率への理解を深めることで、警察の捜査において死亡推定時間をより正確に割り出せるようになり、死因の特定や犯罪現場での分析におけるミスを減らす一助になるとみられる。

 研究結果は、法医学専門誌「フォレンジック・サイエンス・インターナショナル:シナジー(Forensic Science International: Synergy)」の最新号に掲載された。

【翻訳編集】AFPBB News