ローソンが8月23日に横浜市内にある氷取沢町店で午前0時から5時までの5時間、日本初の無人レジの実証実験をスタートした。

 コンビニエンス業界は今、人口減少などによる人手不足と人件費の高騰でこれまで当たり前のように行ってきた24時間営業を続けていくことが難しい店舗が増加。コンビニという業態を今後も維持していくためには、これを解決することが早急に求められている。

 そうした中、ローソンは半年ほど前から夜間の営業を省人化する方策を検討。無人レジの実用化の検討を進めていた。

 「夜間の時間帯にそれほど多くのお客さんが来店せず、一方で人手不足で困っているフランチャイズ店を対象にした」(ローソン関係者)

 そのような店舗の中で実験店を募ったところ最初に手を挙げたのが氷取沢町店のオーナーだった。この店舗が開店したのは5年前。氷取沢町店長は「何年間か人手不足が続き、本部から無人の実験があると聞いて、オーナーが手を挙げたのではないか」と話す。

 0時以降は店舗に電子ロックをかけ、カウンターをビニールカーテンで締め、お酒が並んでいる冷蔵庫にもビニール製のシャッターで購入できないようにする。

 客は入り口で顔写真を撮るか、入り口横に設置された機械でスマートフォン上のQRコードを読み取らせるか、あるいは地域に1000枚ほど配布したカードを入り口のセンサーにかざすと入店できる仕組みになっている。決済は購入した商品をバーコードリーダーで読み取り、無人レジに現金を投入するか、クレジットカード、Suica(スイカ)などをカードリーダーにかざせば決済は完了する。

 「想定していたよりも売り上げの減少はありません。その一つの理由は、地域の固定客以外にもこうした仕組みに関心を持った人がたくさん来店されるようになったからです。ただ、お酒やたばこなどが販売できなくなり、これまで来られていたお客さまは私の目で見た限りでは減っているように見えます」(氷取沢町店長)

 それでも店舗としてはありがたいという。

 「この時間帯の売り上げはだいたい3万円程度。しかしこの時間帯は2人のスタッフが必要で、1人1日1万円の人件費がかかる。これに光熱費などを入れればどうしても赤字になってしまう。しかし、商品の補充などをしなければならないので、店を閉めるわけにもいかない。この仕組みを活用すれば1人いれば対応できるので、何とか赤字にならないで済む。しかも仕事の負担も大きく軽減されています」(同)

 ローソンが心配していたのは防犯などの問題。これに対して店長は次のように語る。

 「カメラは今までの4倍、バックヤードでモニターをチェックしていますし、音声で防犯の告知もしています。それ以外にも防犯対策をしていますから、以前よりもよくなっていると思います」。完全無人化については、「できないことはないと思います。ただお客さまと接点を持って仕事をすることも大事です」と話した。

 今後、関東エリアの直営店などでもこうした実験が行われることが決まっており、横浜の店舗は半年間にわたって実験を続けていくという。果たして新しいビジネスモデルを作り出していけるのか、注目されている。

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 まつざき・たかし 経済ジャーナリスト。中大法卒。経済専門誌の記者、編集長などを経てフリーに。日本ペンクラブ会員。著書は『東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人』など多数。埼玉県出身。