辻美優

写真拡大

大手芸能プロのオスカーと声優プロの老舗、青二プロが合同で行った「全日本美声女コンテスト」(14年)でグランプリを獲得したのが辻美優(23)だ。「君の名は。」「SING」などの注目作でアニメ声優として実績を重ね、21日公開の「セカイイチオイシイ水」では実写映画初主演を果たした。2次元から3次元へ、活動の幅を広げる辻に聞いた。

−初主演作は実話がベース。安全な水をフィリピンの離島にもたらすためのプロジェクトが女性ボランティアの目を通して描かれています。

「初映画で初主演と、もう光栄ですっかり力んじゃったんですけど、実は明日香(役名)はどこにでもいる女性で、あまり深く考えずに友人の誘いでボランティアに応募してしまったという設定です。(目黒啓太)監督からも『もっと自然に』と何度も言われて、まずは肩の力を抜くところから役作りが始まった気がします。声優として声を作ってしまうところもあるので『セリフにクセがついちゃっているね。もっと普通に』とも言われました。監督のイメージする『普通の女の子』というのが、実は一番難しいことでした。共演の赤井(英和=60)さんが5分、10分に1回ジョークを言ってくださったのも、私がよっぽどこわばっていたからなんでしょうね」

−舞台となったパナイ島パンダンは荒涼とした土地で、山頂の唯一の湧き水からパイプを引くのはたいへんな作業だったようです。ロケ地もその近くということで、考えさせられることも多かったのでは。

「ほぼ1カ月の現地ロケで、確かに演じていくにつれて明日香との気持ちがリンクしていきました。私にとっても初フィリピン、初長期ロケでしたから、彼女の驚きがそのまま重なる気がしました。小さな子どもがはだしで自転車をこいで2タルくらいの水を運んでいたり。当たり前に飲んでいた水の大切さを実感しましたね。のほほんと大学生活を送っていた明日香は私とはだいぶ違うと思っていたのですが、実はあまり変わらない。海外の厳しい現実を知らなすぎた。そう思ったら、どんどん役柄に入り込んでいく気がしてきました」

−安全な水が飲めないために腎臓病を患いながら、明日香の心の支えとなる現地の少女を、フィリピンを代表する子役のミエル・エスピノーザさん(8)が演じています。

「フィリピンでは知らない人がいない『大女優』なんですよ。演技が自然で、あまりにも上手。女優として尊敬すべき『先輩』なんですけど、なにしろかわいくて(笑い)。お互い役名で呼び合いました。毎朝、撮影現場で顔を合わせると『明日香!』と駆け寄ってきてハグしてくれる。劇中の心の交流が自然に見えたとすれば、それはすべて彼女のおかげです」

−彼女との悲しい別れのシーンでは演技に心がこもっていましたね。

「本当にそうなっちゃたらどうしようという気持ちが自分の中でぐるぐる回ってしまって、心の底から嫌だ! 悲しいって思えましたね」

−できあがった作品をご覧になってどうでした。

「キャラクターに声をのせる仕事をしてきましたから、私が映って、私の声で話す姿が不思議でした。シーン毎に撮影のときに見た光景や出来事が思い出されて…。もちろん、あぁ、ここはもう少しこうじゃないかな、ここ違うかなというところばかりなんですけどね」

−「美声女」コンテストで1万4434人の応募者の中からグランプリを受賞して以来、声優、モデル、歌手、そして漫画家…文字通りマルチな活動をなさってますが、そもそもはどこを目指したのですか。

「やっぱりお芝居をしたいという気持ちが一番強いと思います。小学生のときに学芸会の『人間になりたがった猫』で主役に抜てきされたのがきっかけです。終わった時に先生から『主役にして良かった』と言われたのがとにかくうれしくて。その時のずっとお芝居をしていたいな、という思いがずっと残っている気がします」

−それでもこの5年あまり、マルチな分野でそれなりの結果を出してきましたね。

「自分からあれもこれもというよりは、人から誘われて『やろうやろう』とノリでやってきてしまったようなところがあります(笑い)。自分の中ではお芝居以外では、絵を描きたいという思いが強いですね。今回は前売りチケットに付くポストカードのデザインをさせてもらいました。両方やれるチャンスなんてめったにないことで、心の底からラッキー! って思っています」【相原斎】

◆辻美優(つじ・みゆ) 1996年(平8)7月6日東京生まれ。09年第12回国民的美少女コンテスト本選出場。14年第1回全日本美声女コンテストグランプリ。美声女ユニットelffinのリーダー。ニッポン放送「オールナイトニッポン」のメインパーソナリティーの他、webサイト「超! アニメディア」でのコミック連載やRUBGのゲーム実況動画の配信も行っている。