弁護士・柳原桑子先生が、堅実女子の相談に応える連載です。今回の相談者は瀬戸千恵子さん(仮名・40歳・食品関連会社勤務)。

「先日、部内の懇親会で、10人の有志でバーベキューをすることになりました。ウチの会社は、社員同士でデイキャンプをしたり、バーベキューをすることを推奨しており、全額会社のオゴりです。買い出し担当は、私と48歳の男性部長と新入社員の男性でした。

この部長は、大手からヘッドハンティングされてきた人で、ウチの会社にあまりなじんでいませんでした。なにかと上から目線なので、ちょっと浮いている人です。しかし、実力も人脈もあるので、会社は重用しており、なんとなく年齢が近い私が彼の世話係にさせられることがありました。

買い出しも私と新入社員が行く予定だったのに、『俺も行くよ。荷物持ちになるだろう』と言ってついてきました。肉、野菜、様々なものを買い、最後に私が大きめのソーセージを手に取ったところ、部長が『それはやめた方がいい。女性が食べると、あらぬ妄想をしてしまう』と、ニヤニヤしながら言っていました。

その場では気が付かなかったのですが、後からその発言の卑猥な意味に気が付いて、気持ち悪くなりました。

これもセクハラに該当するのでしょうか。確かに、私のチームは部長と新人以外、皆女性です。

この場合、私はどう返せばよかったのか、何をすればよかったのか、アドバイスをお願いします。

私はコミュニケーションが苦手で、自意識過剰なところがあります。『そんなこと言わないでくださいよ』などと、軽く流せない性格です。それに、独身だから、『そういうことを気にしているから独身なんだよ』などと言われるのも嫌だと思い、もやもやしています」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

セクハラとは、相手の意に反する性的言動によって、働く上で不利益を被ったり、就業環境が妨げられることを言います。

就業環境とは、通常の出勤場所だけでなく、取引先や打ち合わせのために出向いた場所、出張先、業務で使う車内の他、勤務時間外の宴席であっても、業務の延長と考えられる場合にはあたります。

なおセクハラは、就業環境以外の人間関係でも生じる問題でもあります。ですから、就業環境ではないから、セクハラに該当しないということではありません。

相手の意に反する性的言動がセクハラになるため、本件のような卑猥な発言は、セクハラになり得ます。

あとで責任追及をする場合、言動をした者は証拠がなければ否定することが通常なので、重要となるのは客観的証拠です。第三者の証言がポイントになります。後で上司ほか相談窓口に持ち込む場合でも、事実の申告のみより、証拠がある方が自己防衛のために有効です。

性的なことと関連付けて、発言をするのはセクハラ。



■賢人のまとめ
セクハラを告発をした時、シラを切られてしまう例は多い。自己防衛のためには、証拠が大切。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/