渡邉、石井一、平沼、玉井……来季立て直しへ、今季いちばんの成長株は?【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#110】

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ファンが前向きになれる話題


 今季最後の東京シリーズは「ロッテ・楽天・楽天」の変則3連戦だった。これを1勝2敗と負け越し、通算成績は132試合60勝67敗5分の5位(9月13日現在)だ。ロッテ楽天の3位争いに割って入るには3連勝しかないと意気込んでいたが、差を詰めるには至らなかった。もちろんあきらめる必要はないけれど、残り試合数とゲーム差を考えるとCS進出は厳しくなったと言わざるを得ない。1チームだけなら「こちらの連勝&先方の連敗」の可能性が残るけれど、ロッテ楽天の2チームに揃って連敗してもらうのはちょっとムシがいい。
 
 で、ファン仲間と居酒屋で「ムシがいいけどそれを祈る?」「ムシがいいけどそうならないかなぁ」「ムシがいいけどねー」など愉快に話し込んでいたと思ってほしい。7月末にいっぺん夢を見た(首位ソフトバンクに0.5差肉薄)せいで、今は順位のことを誰も語りたがらない。ていうか「順位表は見ません」と言い切る者もいた。飲み屋でチーム成績の話が出ないとなると勢い話題は選手個人に移ってゆく。
 
「今年いちばん伸びた選手は誰だろう?」、みんなが前向きになれる話題を僕が出した。悪戦苦闘のシーズンにも必ず収穫はある。僕は成長した若手や、働きどころを得てカムバックしたベテランを(飲みの席で)ベタ褒めするのが好きだ。飲み会は得てしてみんな愚痴っぽくなりがちだ。文句は言い出すと止まらない。愚痴や文句より、選手のいいところを褒めたほうが僕は気分がいい。これは性分だなぁ。
 
「有原!」、いきなり反則技みたいな持論が来た。そこを言う? まぁ、ツーシームを覚えて有原は確かにひと皮むけた。上沢が抜けた投手陣を支え、キャリアハイの成績は立派だ。だけど、「有原が伸びたシーズン」なんて総括はどうだろう。それって収穫なしって言ってるのと同じじゃない?
 
「そりゃ渡邉諒でしょう」、よっ、待ってましたそのひと声。渡邉諒がいなかったら今シーズンは面白くなかったと思う。本当に1軍の戦力になった。ていうか主力になった。近藤健介、大田泰示が調子を落とした8月はなべりょがいちばん期待できるバッターだった。ただ守備には課題を残したなぁ。
 
「石井ピンちゃん!」、当然、その声も挙がる。石井一成は残念ながら骨折でシーズンアウトしてしまったけれど、飛躍のシーズンを過ごしたと思う。「5番渡邉、6番石井」は2019年シーズンの希望だった。打てる、守れる。来年が本当に楽しみだ。ただ活躍期間が短かったなぁ。どこまでやれるかシーズン最後まで見たかった。
 
「平沼を忘れてもらっちゃ困りますよ」、おお、平沼翔太は今年のホープの1人だ。使ってもらえば1軍でもフツーにやれるってところを示した。1軍定着の足がかりをつかんだシーズンだ。まぁ、打撃も守備ももう一段レベルアップしたいが、ここまで存在感を示すとは思わなかった。

投手で今季いちばんの成長株


 ただなべりょ、ピンちゃん、沼っちでピタリと名前が止まる。横尾も伸び悩んだ。淺間もチャンスを逸した。もちろん清宮も低迷した。みんなため息になる。ああ、いかんいかん、せっかく前向きな話題なのに…。
 
「ピッチャーはどうよ? 有原しか名前が出ないけど」、再び僕が水を向ける。すると1人がその日の先発、北浦の話をした。「2安打1失点のピッチャーを3回で下げちゃいますからね、伸びるもんも伸びないっていうか、誰が伸びたんだかわからないシーズンですよ」「堀なんてどんな気持ちなんだろう、先発の柱になるかと期待されてたのに便利屋みたいに酷使されて…」「加藤もなぁ…」、あ、またいけない流れだ。みんな愚痴になってしまう。
 
「玉井はどうなの? 玉井大翔は伸びたでしょ。イニングイーター、もしくは中継ぎの火消し役。先発つぶれたら玉井でしょ。あと、ランナー出して厄介だぞって場面も玉井でしょ。ゲッツー取れるし。割り切る発想ができるようになった。仕事人の風格ですよ。玉井は間違いなく今季グーンと伸びたよ」、もう僕は力説していた。「玉井は収穫である」の一点を死守。ビタいち譲らない構え。
 
 そうしたら誰が言うともなく「登板過多じゃないですかねぇ、玉井1シーズンでつぶれないか心配ですよー」「投げ過ぎ」「投げさせ過ぎ」、うわあ、みんなネガティブだなぁ。読者の皆さん、玉井は伸びましたよね? 収穫ですよね? 僕はプロで稼げるピッチャーになったと思うけどなぁ。玉井のことみんなもっと褒めてほしいですよ。