アダム・オルター(Adam Alter)  ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスのマーケティング学科准教授。専門は行動経済学、マーケティング、判断と意思決定の心理学。『ニューヨークタイムズ』『ニューヨーカー』『WIRED』『ハフポスト』など、多数の出版物やウェブサイトで精力的に寄稿するほか、カンヌ国際広告祭やTEDにも登壇。新著『僕らはそれに抵抗できない』は、ダニエル・ピンク、マルコム・グラッドウェル、アダム・グラント、アリアナ・ハフィントンなど、錚々たる面々から絶賛されている。

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「いいね!」欲しさにのめり込むインスタやフェイスブック、「あと1回」が終わらないスマホゲーム、朝まで一気見してしまうネットフリックス、さらには頻繁すぎるメールチェック……。
現在、薬物やアルコールなどの物質への依存だけではなく、「行動」への依存も広がっている。この「新時代の依存症」の仕組みと、私たちをのめり込ませる「依存症ビジネス」の仕掛けについて、『僕らはそれに抵抗できない』著者であるアダム・オルターにインタビューした。果たして、「スクリーン」「新着通知」「いいね!」など、私たちを捉えて放さないテクノロジーとうまく付き合うことはできるのか?(インタビュアー:大野和基)

ジョブズも恐れた「iPad依存」

――スティーブ・ジョブズは会場でiPadを鳴り物入りで宣伝したにもかかわらず、自分の子どもには使わせていませんね。その事実をどう見ますか?

 人が公の場で言っていることと異なることをプライベートでしているときは、必ずなぜそうなのかということを追及しなければなりません。ジョブズはiPadを家に持って帰ると自分たちでさえもそれを使いすぎないようにすることに苦労するだろうと気づいたのです。それで、家ではまったく使わせないようにするほうが賢明であると判断したのでしょう。自分の子どもには使わせないようにしているのに、それを他の子どもたちに使うように大々的に宣伝することは、モラルの面で問題がありますね。

――こういうガジェットを作っている人は明らかに、依存症の罠を仕掛けて、抵抗不能にする方法を知っています。誰もが依存症になりうることを彼らは知っています。それをあなたはbehavioral addiction(行動嗜癖)と呼んでいます。行動嗜癖は他の依存症とどう異なるのでしょうか。

 行動嗜癖は、アルコールやドラッグやタバコなどの物質を伴わない依存症です。行動嗜癖を引き起こす体験は、長期的にウェルビーイング(心身両面での健康)を妨げるという事実があるにもかかわらず、人が何回も繰り返したくなるようなものとなっています。これにはソーシャルメディア、ゲーミング、ポルノ、電子メール、ショッピング、エクササイズなどが含まれます。社会的に、心理的に、肉体的に、そして経済的に自分のウェルビーイングに害を与えるものです。

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