『ブレイキング・バッド』を彷彿させる傑作『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』 シーズン3は、変貌、裏切り、そして讃美!

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2017年4月にデビューするや否や大きな話題を集め、それから5カ月足らずで発表された第69回エミー賞では、作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞、主演女優賞、助演女優賞と主要部門を総ナメにした『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』。実はあの『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ブレイキング・バッド』でさえも主要部門を5つも受賞したことがない(ただし、『ゲーム・オブ・スローンズ』は今月下旬に発表される第71回エミー賞で主要7部門にノミネートされている)。シーズン4への更新もすでに決まっている、そんな隠れた傑作のシーズン3がついに日本でもスタートした。そこで新シーズンを待ち望んでいた方にも、シリーズ未見の方にも、シーズン1からのおさらいを含め、今世紀を代表する本作の新シーズンの展望や見どころをご紹介しよう。

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本作の舞台は、環境破壊や女性の社会進出の影響により、子どもがなかなか生まれなくなった超少子化社会。世界中がこの問題に直面している中、アメリカではキリスト教原理主義者たちがクーデターを起こし、ギレアド共和国を設立。一部の権力者である男性が家庭を持つことが許される中で、同性愛者などは処刑される運命に。女性たちにおいては仕事はおろか、読み書きや音楽など文化に触れることも一切禁じられ、好きな服も着られない。そして支配者階級の妻、家事全般を担う家政婦、そして階級の高い男性の子どもを生むための侍女といった風に、なんらかの形で"家庭"に入り生きていくのだった。

このように聞くと、テーマが重すぎて見る気が失せてしまう方もいるかもしれない。筆者も最初はそう感じたが、実際に見てみると現実ともそう遠くない世界観とそこで生きる人々の生き様から目が離せなくなり、一気に本作の虜になった。

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衝撃、暗黒、試練のシーズン1、反撃、結束、希望のシーズン2

第1話から超衝撃的なシーンで話題となった本作だが、シーズン1ではなぜギレアド共和国のような世界が存在するようになったのか、主人公であるジューンがどのように侍女にさせられたのかが語られている。編集部でバリバリのキャリアウーマンとして活躍、結婚して娘にも恵まれ人生を謳歌していたジューンは、そのほかの女性と同様、ある日突然ギレアドの軍隊に連れ去られて子どもを生むための奴隷とされてしまう。そして離れ離れになった夫や娘を思いながら、再会できる日を夢見て毎日を必死で生き伸びていく。

シーズン2では、そんなジューンをはじめとした侍女たちや、マーサと呼ばれる家政婦たちが結束しつつ反逆を試んでいく。また、ジューンは自身が仕える司令官フレッド・ウォーターフォードの妻セリーナと、ある種の女同士の友情や母としての喜び、苦しみを分かち合うようにもなる。シーズン2ではそんなセリーナのような司令官の妻たちの心変わりにも注目が集まった。暗闇にわずかな光が差した瞬間だ。

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司令官たちにも荒波が!凄まじいシーズン3の展開

シーズン3は、ジューンの夫ルークや友人たちが住む平和なカナダと、ギレアド共和国の両方が舞台となる。その対比を体験することになるキャラクターたちの戸惑いが非常に新鮮だ。普段私たちが何気なく交わす言葉や、その日の気分に合わせて選ぶ衣類、髪型といったもの全てが実は自由の象徴で、恵まれていることを実感せざるを得ない。

ギレアドのキャラクターで見逃せないのは、ジューン以上に波乱万丈な運命を辿るウォーターフォード夫妻、敵か味方か分からない司令官ローレンス夫妻、そして侍女たちの指導者リディアおばだ。嫌がる女性たちを肉体的にも精神的にも追い込んで侍女へと変貌させていくリディアおば。彼女がこれほどまでに冷酷な悪しき人間になった過程と、"おば"という呼び名の由来もこのシーズンで明かされる。そんなリディアに多少なりとも共感、同情する人もいるだろう。さらに、『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』でエリオット・ステイブラーを12年演じたクリストファー・メローニや、『アリー・myラブ』でアリーの幼馴染ビリー・トーマスを演じたギル・ベローズなどの新たなキャストが、ギレアドの男性陣としてジューンの前に現れる。

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どんどんワルくなる!?エリザベス・モスの独壇場

シーズン3、特に後半に関しては、とにかく今までの『ハンドメイズ・テイル』とは全く別次元になっていると言っても過言ではない。ジューン役のエリザベス・モスがあるインタビューでも答えているように、もともと芯の強かったジューンだが、シーズン後半では徐々に想像を絶するような人間へと変貌を遂げていく。ストーリーもキャラクターも全く異なるが、『ブレイキング・バッド』の冴えない中年高校教師だったウォルター・ホワイトが、いつの間にかドラッグの帝王になっていった姿を一瞬思い起こすほど。これほどエリザベスは名優だったのかと改めて感服するくらいに、彼女の見せ場が続く新シーズンは必見だ。

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また、この作品ではシリーズ全体を通して言えることだが、特にこのシーズン3は是非ともできるだけ大きな画面で視聴してほしい。その理由は、計算され尽くした背景とキャラクターの絶妙な表情にある。ご覧になればお分かりいただけるはずだ。

全キャラクターが変貌するシーズン3。シリーズを通して戦い続けてきたジューンが最後に得るものは一体何なのか。


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『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』シーズン3は、Huluにて9月13日(金)より独占配信。以降、毎週金曜日に一話ずつ新しいエピソードが配信される。

(文/Erina Austen)

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『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』シーズン3
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