大森立嗣監督

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 映画「さよなら渓谷」「日々是好日」などを手がけた大森立嗣監督の最新作「タロウのバカ」。同作は、戸籍も持たず学校に一度も通ったことがないタロウ(YOSHIさん)には、エイジ(菅田将暉さん)とスギオ(仲野太賀さん)という高校生の仲間がいます。奔放な日々に自由を感じる3人が偶然、銃を手に入れたことから過酷な現実と向き合うことになる青春ドラマです。

 オトナンサー編集部では、大森監督に単独インタビューを実施。物語のきっかけやタロウというキャラクター、菅田さんのナレーションについて聞きました。

友達がピストルを持ったら…

Q.この物語を作ったきっかけを教えてください。

大森監督(以下敬称略)「自分がいた学校が割と荒れていて、その時に友達がピストルを持ったらこうなる、というイメージを書いていました。社会問題を訴えかけようと思って書いたわけではなく、こういう状況があって、ピストルを持ってしまって歯止めが効かなくなったとき、どうするんだろうという思いがきっかけでした」

Q.タロウは監督にとってどんなキャラクターですか。

大森「人間というよりは、野生の動物に近い感じで描いています。社会で生活していると質問しないような、ごく当たり前のようなことがタロウには疑問だったりします」

Q.YOSHIさんは演技経験がありません。タロウを演じるにあたりどんな話をされましたか。

大森「とにかく頭で考えないで、感じたままに動くように言い続けました。映画の現場のルールに従わせるのではなく、彼のルールに映画のスタッフも従っていく感じにしました。そうしないと彼が自由になれないというのもあり、僕たちが培ってきたルールを押し付けるのではなく、彼がしたいことを撮るために現場のルールを変えました」

Q.菅田将暉さん、仲野太賀さんの印象は。

大森「彼らも、YOSHI君を生かすために自分たちはどう動いていけばいいか考えてくれている感じがしました。演技は僕が言うまでもなく、若手ではトップの2人です」

Q.菅田さんのナレーションは独特でした。演出はどのようにされましたか。

大森「布団の中に入って独り言を言う感じで言ってほしい、声を発声として流すよりは、喉に流すくらいにしてほしいと伝えました。誰かに聞かせようとしなくていいとも言いました。聞かせようとしている声は安心感がありますが、聞かせようとしない声は不安感があります」

Q.仲野さんは一般人、菅田さんは少しハミ出ています。タロウはどの位置にいるのでしょうか。

大森「タロウは人の枠組みの外にいて、エイジは枠から飛び出す瞬間を描いており、スギオは枠の中にいるキャラクターです。タロウに二人が引っ張られているという構造になっています」

Q.一番お気に入りのシーンを教えてください。

大森「面白いなと思うのは、3人が組体操をしているシーンです。アドリブで始めたんですよ。他はあまりアドリブがありませんでした。俳優も楽しそうだし、撮っていても楽しかったです。やはり自分の想像を超えているシーンは面白いです」

Q.現場の雰囲気はいかがでしたか。

大森「明るく楽しい現場でした。YOSHI君が主導で動いて、本当にむちゃくちゃでした。ふざけて遊びながら撮影している感じがあり、その感覚を自分たちも生かしていました。仕事をしている感じではなかったです」

 映画「タロウのバカ」は9月6日から全国公開。