有罪判決を受けたのはサウジアラビアの現国王サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール=サウードの娘ハサ・ビント・サルマーン・アル・サウード王女。2016年にパリで暴行事件を起こした容疑でフランスで起訴されていた。執行猶予付きの懲役10ヶ月の実刑に1万ユーロ(約110万円)の罰金が課せられたと報じられている。

事件が起きたのはパリにある、サウジアラビアのロイヤルファミリーのアパートメント。洗面台が壊れたとロイヤルファミリーに呼ばれた修理工は、アパートメントに到着するとバスルームの写真を撮影した。修理工によると作業のために写真が必要だったという。この写真に王女の姿が写っていたことが事件の発端に。王女は写真を撮られたことに激怒! ボディガードに命じて修理工を拘束、殴る蹴るの暴行を加えさせたという。ボディガードは修理工に王女の足にキスをするように命じたとも報じられている。修理工は数時間にわたって拘束された後、解放されたという。修理工の証言によると王女はボディガードに「殺せ。これは犬だ。生きている資格はない」と叫ぶ場面もあった。

修理人の訴えを受け、フランス警察は王女に国際逮捕状を出した。でも王女は事件後すぐに国外へ。裁判も王女が不在のまま行われたという。7月に裁判が始まったとき、検察官が求めていたのは懲役6ヶ月と5,000ユーロの罰金。でも裁判官は事態を重く見たよう。それよりも重い罪が科せられることになった。新聞「ガーディアン」によると王女の弁護士は判決の後「この判決には確固たる証拠がない」「王女は犯行現場にいなかった。暴行も命令していない」と全面否定するコメントを発表している。

ちなみにサウジアラビアの王族がヨーロッパの裁判で有罪になったのはこれが初めてではない。先代国王の孫サウード・ビン・アブドゥル・ビン・ナーサル・アル・サウードは2012年にロンドンのホテルで自分の使用人を虐待の末、殺害し有罪になっている。彼は逮捕され終身刑に。でもその後、サウジアラビアの刑務所に服役することを条件に帰国を許された。王女がどのような道をたどるのか、続報を待ちたい。

text: Yoko Nagasaka