ヤフーとの資本業務提携と同時に経営から退いたZOZOの創業者、前沢友作氏は、衣料品はネットでは販売しにくいという従来の常識を覆し、流通業界を一変させた時代の寵児(ちょうじ)だ。

 今後は自身の夢である「月や宇宙への旅」の実現と、ZOZO創業につながった「試着は恥ずかしい」といった身近な困り事を解決する、新たなビジネスを再び開拓するという。

 感性の赴くままワンマン経営で育てた会社を去る判断時期を問われ「ずばり、9月に入って2週間程度の決断だ」と、前沢氏は急転直下の決心を振りかえる。

 創業21年を迎え、ネット業界では古参になるZOZOは、アパレルを扱うインターネット通販サイト「ゾゾタウン」を平成16年に立ち上げた。試着ができない衣料品通販は成功しないとの業界常識の中、利用者目線を重視したサービスと人気ブランドが相次いで出店したことで、瞬く間に若年層を中心にユーザーを獲得、事業はふくれあがった。24年に東証1部上場を果たした。

 直近はプライベートブランド事業の失敗など順調とは言い難い。ZOZOの成長を牽引(けんいん)してきた若者層の中には、ファッションにあまり興味がない層もおり、「そうした若者に次に何を買わせるかが課題」(関係者)。前沢氏は、自身でその回答を出せなかった。

 資本業務提携へと話を進める中、ヤフー側から続投を求められたが「成長するための経営体制は何かを考えた結果、僕が退く」と退任を決意したという。(日野稚子)