出典:「ブラタモリ」公式サイトより

ネット版の『FLASH』が『タモリ、芸能人への「頑張って」に疑問「アスリートか」』なるタイトルの記事を配信していた。

タイトルのみから読み取っただけでも、猛然と同感したくなりそうな名文句だと言えよう。タモリが、9月7日放送の『ブラタモリ』(NHK総合)で、芸能人が一般人から掛けられる言葉への疑問を語った、という経緯……らしい。はたしてどういうロジックなのか、もう少々詳細をつけ加えてみる。

(京都でロケをしていると、男性から「頑張ってください」と声を掛けられ)「なんで芸能人に『頑張ってください』って言うのかな。俺たちはそんなに熾烈な戦いをしているのか?」

(同行していた林田理沙アナウンサーが「一般人の感覚だと『頑張ってください』って言いたくなります。『応援しています』みたいな」と返答したのを受けて)「戦ってるんだ、俺。アスリートなんだ」(と笑顔でリアクション)

タモリは「頑張れ」という言葉について、2018年10月2日放送の『news zero』(日本テレビ系)で、有働由美子アナウンサーとの対談でもコメントをしているという。

(有働アナは以前、タモリから「番組の長続きのコツ」として「頑張るな」とアドバイスされたことがあり、その真意を問いただすと)「頑張ると疲れる。疲れるとやっぱり続かないですよ」

「頑張れって、いまの世の中、言い過ぎじゃないですか。『頑張れ』とか『生き方』とか、あんまり言い過ぎて、ちょっとみんな重いことになってるんじゃないですかね」

「頑張れ」というエールは別の角度から捉えると、極論的には

「今いるステージのもう一段階上に行くことを促している」

……わけである。それって、けっこうなおせっかい……ですよね。“現状維持”でなぜ悪いのか? 少なくとも私は、いや、おそらく大半の人たちは、せめて“現状維持”の状態をキープするために、毎日“すで”に「頑張っている」のではないか。なのに、今以上もっと「頑張れ!」「頑張ってください!」って……そりゃあ、そんな無理難題を吹っかけられても余計なお世話、疲れてしまうだけですわ。そう。繰り返すが、今日と同じ明日が来ることを願って、誰もが普通に頑張っているのだ。

以前、私はここcitrusで、新入社員に「辞めてもいいよ、逃げてもいいよ」とメッセージを贈る企業について言及したことがあるのだけれど、コレと今回のタモリによる「頑張るな論」はちょっとニュアンスが違っている。安易に一度入社した会社を辞める(逃げる)という行為は、すなわち“現状の放棄”を意味する。とりあえずは、できるところまで現状を維持するため頑張ってみることは、やはり最低限必要なのではないか。タモリだって、「いいとも!」を30年以上続けるのに、ひたすら頑張らないよう心がけつつ、ちゃんと頑張ってきたのだから……。