北中米遠征では2試合ノーゴールに終わった上田。この結果を糧に、さらなる飛躍を期したい。写真:林遼平

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 大きな期待とは裏腹に、あと一歩が遠かった。

 7月に法政大から鹿島に加入して早2か月。徐々に出場機会を重ね、遠征前最後のリーグ戦では初のフル出場を果たすと2つのゴールを奪って勝利に貢献。上田綺世は確かな成長を遂げつつ、コパ・アメリカ以来の代表活動に臨んでいた。

 ただ、結論を先に言ってしまえば、今回の遠征では大きな結果を残すことができなかった。小川航基や前田大然といった東京五輪のFW枠を争う選手たちが名を連ねていたことを考えれば、アピールするには絶好の機会だったと言っていい。しかし、2つの公式戦で奪った得点はゼロ。自らを「結果を出すことに特化したスタイル」と称する中で、彼らとの違いをピッチで表現することはできなかった。

「僕の試合の出方は途中からが多かったり、より結果を求められるタイミングで起用されたり、いろいろな使われ方があると思う。逆にそこで結果を残せないと存在意義もなくなってしまう。僕が結果を出してすごい、すごくないではなく、結果を求められて試合に出ている以上は、それをやるのがチームにとって当然のことだと思う」
 
 試合前、上田は自身の存在価値についてこのように語っていた。どんな場面でピッチに立とうが、チームの勝利のためにゴールを奪う。それができなければ、今日の自分に満足することはできない。100か0か。それほどにゴールの価値を重要視する選手も珍しいが、上田の中ではそれが“自身のスタイル”である。

 その観点からすれば、今遠征での2試合は上田にとってどちらも満足できない結果に終わった。U-22メキシコ戦は先発、U-22アメリカ戦は途中出場という起用法だったが、どちらもシュートは1、2本程度で終わっている。パスが出てこない場面もあったが、本人は素直に自身に矢印を向けている。

「パスが出てこなかったと言うのは言い訳になるし、それを引き出せなかったのは自分の力不足。そこにまだ物足りない部分があるのかなと感じた。それに自分の特徴を出し切れなかったところが今回の遠征ではあったと思う。そのためにはもっとボールを引き出すこと。パサーともっと会話しながら、どこで欲しいのか、どこに出して欲しいのか、タイミングを含めてもっと合わせていくことが必要なのかなと思う」
 
 今回、これまでとは異なったメンバーとプレーする中で連係面に課題があったのは間違いない。ただ、普段のチームとは違う環境、ましてや代表でプレーする場合、急に集まったメンバーと短い期間でコンビネーションを高めていく必要があることを考えれば、その中でも違いをもたらせるかはひとつのポイントだった。

 そういう状況を踏まえると「もちろん点を取れなかったということは足りなかったということ。そこはもっと突き詰めていきたい」という本人の言葉がすべてだろう。

 悔しさの残る遠征を終え、上田は再び鹿島に戻る。今回の経験をいかに次へとつなげるべきか。その答えは見えている。
 
「どんどん自分の中で考えながらサッカーをやっていく必要がある」

 立ち止まっているわけにはいかない。日本を代表する絶対的なストライカーとなるために、上田は鹿島でさらなる研鑽を積む。取材・文●林遼平(フリーライター)