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無許可で壁にポスターを貼られていた。どうにかできないかーー。こんな質問が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者によると、所有している小屋に身に覚えのない広告ポスターが貼られていたそうです。しかも、「闇金」業者と思しきもので「非常に不愉快」と怒り心頭です。確かにポスターの内容次第では、周囲から誤解を受けることがあるかもしれません。

刑事・民事両方でどんな対応ができるのでしょうか。近藤公人弁護士に聞きました。

●枚数や貼り方がポイント

ーー犯罪になる可能性はあるんでしょうか?

「過去の判例では、数百枚のポスターを貼ったとき、建造物損壊罪に該当する判例があります。一方で、34枚を貼り、比較的容易に原状回復できる場合には、建造物損壊罪に該当しないという判例もあります。

美観を著しく損ねたか否かを考慮した判例がありますが、一般的には、ビラの枚数、貼り方が問題になり、原状回復の容易さを考慮します。単に貼っただけでは、建造物損壊罪は難しいでしょう。

塀を乗り越えて侵入した場合には、住居侵入罪に該当しますが、公道から壁にポスターを貼った場合には、該当しないでしょう。

なお、軽犯罪法第1条33号『みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札』をした行為に該当するので、軽犯罪法違反に該当します」

●違法だけど、賠償金は取りづらい

ーー民事的にはどうでしょうか?

「同意もなく、壁にポスターを張ったのですから、違法であることは間違いないでしょう。問題は、損害が発生しているかです。

まず、張られる前の現状に戻す費用が損害です。掃除の費用は請求できるでしょうが、簡単に剥がすことができるのであれば、事実上、損害はないと言ってよいでしょう。

ポスターの内容が、小屋の所有者があたかも宣伝主であり、その内容が著しく違法であれば慰謝料請求ができますが、認められるとしても数万円でしょう。単に不愉快では、慰謝料は認められないでしょう」

ーー広告スペースの利用料という形で請求できませんか?

「もともと小屋の壁を広告スペースとして貸出し、そこに勝手に貼られていた場合は、広告料として徴収してきた金額を損害として、請求できることになります。この場合には、現在、過去に広告スペースとして貸出していたことの立証が必要となるでしょう」

【取材協力弁護士】
近藤 公人(こんどう・きみひと)弁護士
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。
事務所名:滋賀第一法律事務所
事務所URL:http://www.shigadaiichi.com/