鉄筋コンクリート(RC)とプレストレスト・コンクリート(PC)の違いはありますが、1.8mの厚さのRCを2〜9倍の余裕度で貫通するKN-23は、1.1mのPCを余裕で貫通すると考えて良いでしょう*。
<*改標2型PWRのPCCVには、密度のたいへんに高いコンクリートが使われている。従って、運動エネルギーが小さい軽量弾頭には持ちこたえる可能性はある>

 格納容器が貫通されると、内部で500kgまたは250kgの弾頭が炸裂し、格納容器内部を破壊されます。原子炉は、運転中に格納容器内部で数百キロの高性能爆薬が爆発することなど全く想定していませんので、100〜300kgの高性能爆薬の内部爆発には耐えられません。原子炉は、想定を遙かに超えたきわめて甚大な打撃を受けることとなります。

 大飯3,4と、同型の玄海3,4は、第二世代原子炉としてもたいへんによく出来た優れた原子炉ですが、双発大型航空機の突入には、燃料火災を除き耐えられると思われるものの、弾道弾の直撃では打ち抜かれ、破壊されます。

 私は常に指摘していますが、原子力の商用利用には、絶対的かつ恒久的平和が必須なのです。

 およそ考え得る限り最も丈夫な第二次改良標準化PWRの格納容器が貫通されるような弾道弾頭には、天蓋がRCで20mの厚さを持つ地下要塞でも作らない限り耐えられません。もちろんですが、イージス・アショアは、それ自身が弾道弾攻撃されることを想定しているとは言いがたく、レーダー建屋も指揮管制建屋もブリキ缶のように打ち抜かれることになります。そもそもレーダーは地上に露出するほかありません。

 欧州イージス・アショアは、仮想的とするイランの射点から2,500km以上離れていますので、KN-23のような迎撃不能でピンポイント攻撃して来るものはありません。しかし萩イージス・アショアは、西部劇でガンマンが射撃訓練に使う空き瓶のようなものです。

◆5:飛来時間が短い

 SRBMは、名の通り近距離から撃たれますので、飛来時間は8分未満であり、「探知」、「追跡」、「軌道分析」、「脅威判定」、「意志決定」、「命令」、「命令伝達」、「迎撃」というプロセスに使える時間がたいへんに短いのです。MRBMですと10分前後、IRBMですと15分程度、ICBMで20〜50分程度とされ、対応時間は長くなります。

 イスカンデル系であるKN-23の場合、SRBMとしてはたいへんに高速となるM6〜7の速度とされますが、仮に速度をM5〜6程度と保守的に見積もっても飛来時間は5〜6分前後となります。

 2016年11月23日に発効した日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)が機能していた一昨年の事例で、Jアラート(全国瞬時警報システム)によるミサイル警報は、発令までに4〜5分ほどを要していますので、仮にJアラートを発令してもそれは着弾とほぼ同時かその後となり、あまり役に立ちません。しかも安倍・河野外交の稚拙な大失敗により、GSOMIAは発効後わずか5年でまもなく失効する見込みです。このことについては後日筆を改めて論説する予定です。

 このことは、迎撃の難しさも示しています。

 現在からこの先当分の間、KN-23を迎撃できる可能性があるのは点の防御を担うPAC-3のみですが、迎撃命令が的確に届き、迎撃できるかは分かりません。また、PAC-3でのKN-23の迎撃はこれから配備が進む改良型を持ってしてもきわめて難しいとされています。そして例えばSM-6の弾道弾迎撃機能の開発と配備が進行したとしてもKN-23には迎撃妨害能力などの未確認の機能や発展余裕があります。

 弾道弾防衛においては常に日進月歩の競争となりますが、この競争は攻撃側が圧倒的に有利かつ安価であることがまさに目の前で展開されています。しかも、攻撃側が常に先んじているのが現状です。