開幕前、ポルトの中島翔哉は今季ポルトガルリーグに加わった日本人選手の中で、ポルトガルのメディアにもっとも大きく取りあげられた選手だった。しかし、プリメイラ・リーガ第4節が終了した段階でもっとも活躍した日本人選手は、ポルティモネンセのDF安西幸輝と、マリティモのFW前田大然だった。


ここまでフル出場で活躍している安西幸輝 photo by Global Imagens/AFLO

 2017−18シーズン、ポルティモネンセで輝かしい活躍を見せた中島は、ポルトガルのビッグクラブの関心を呼び、ポルトがベンフィカとの争いの末、獲得した選手だ。ポルトはカタールのアル・ドゥハイルに対して1200万ユーロ(約1億4千万円)を支払った。プレシーズンにおいて中島は、今季ポルトを去ったアルジェリア人のブラヒミのポジションで試された。しかし結局、中島は開幕までに自分のポジションを得ることはできなかった。

 当初、中島はブラヒミのつけていた背番号8番を引き継ぐ予定だった。しかしオリベル・トーレスがセビージャに移籍すると、ポルトの10番をつける選手がいなくなった。中島は10番が欲しかったのだろう。クラブに10番をもらえないかと尋ね、クラブも了解した。

 中島が入団会見で8番を見せたことで、ポルトの多くのファンが中島のユニフォームを購入していた。しかし10番に変更になったことで、すでに中島の8番のユニフォームを買ったファンも、追加の80ユーロを支払うことなく、新しい中島の10番のユニフォームを購入することができた。

 2004年にポルトを去ったデコ以来、10番をつけてきたのはクアレスマ、ポスティガ、クリスティアン・ロドリゲス、ハメス・ロドリゲス、フアン・キンテーロ、ダニエル・オスバルド、アンドレ・シウバ、オリベル・トーレスといった選手たちだ。だがとくに近年は、フアン・キンテーロ以降は10番をつけてきた選手が十分な活躍をしていない。果たして中島はそのことを知っていたのだろうか……。

 第4節が終了した段階で、中島がプリメイラ・リーガにおいて出場したのは、第2節ビットリア・セトゥーバル戦のわずか1試合のみ。しかもベンチスタートで、後半ロマーリオ・バローに代わりピッチに立った時、ポルトは4−0でリードしていて勝負はほぼ決まっていた。プレーしたのはわずかに23分間だけで、中島は試合で自らの存在を示すだけの活躍を見せることもできなかった。

 中島がポルトにおいて公式戦デビューを飾ったのは、8月13日に行なわれたチャンピオンズリーグ予戦3回戦、対クラスノダールのセカンドレグだった。中島はこの試合先発で出場している。

 ポルトはファーストレグを0−1で勝利していたが、セカンドレグはホームで戦いながらも、2−3でまさかの敗戦。アウェーゴールの差によって、チャンピオンズリーグ敗退が決まってしまった。ポルトにとってはまさに悪夢のような出来事だった。中島は先発で出場しながらも、重要な試合で貢献することができなかったのだ。

 8月24日にエスタディオ・ダ・ルスで行なわれた第3節、ベンフィカとのクラシコ(2−0で勝利)を、中島は妻の出産に立ち会うために帰国したため、欠場した。その後1週間以上練習を休み戻ってきた中島だが、彼を取り巻く状況は、レギュラーポジションを争うどころか、18人の招集メンバーに入るために毎試合競争していかなければならなくなっていた。

 第4節ギマラインス戦は、ポルトが3−0で勝利しているが、この試合、中島は招集されていない。

 第4節を終えたプリメイラ・リーガは代表戦が行なわれるため休止期間に入っているが、中島にとっては失われた時間を取り戻すために、とくにコロンビア人選手のルイス・ディアスと争っていくために、重要な時となるはずだ。中島は日本代表メンバーに選ばれて、ポルトガルを離れた。

 もう一人の日本人選手、マリティモのFW前田大然は、能力の高さを第1節スポルティング戦から見せた。ベンチスタートだったが57分からピッチに立つと、強豪を相手にとても危険な存在であることを示したのだ。彼が放ったシュートはゴールの右ポストをたたいた。それが決まっていたらマリティモの勝利となっていたはずだった。

 第2節デスポルト・ダス・アベス戦でも控えだったが、65分にピッチに立つと、再びマリティモの攻撃に火をつけた。しかし、この試合は敗戦に終わっている。

 第3節トンデーラ戦で、前田はついに先発としてピッチに立つ。そして彼にとって初めての得点を決めた。残念ながらチームは敗戦に終わったが、この試合でヌーノ・サントス監督から大きな信頼を勝ち得たことは間違いない。

 前田は序盤戦での戦いぶりから、すでにマリティモファンからも、チームにとって重要な選手の一人として認められている。またマリティモの取材を続けている番記者たちからも高い評価を受けている。彼のスピードのある動きと、シュート力は大きな武器となっており、これからも先発として起用されていくだろう。

 日本人選手の中で唯一4試合フル出場を果たしたのが、ポルティモネンセのDF安西幸輝だ。安西はチームの守備陣においてとても重要な役割を担っており、初戦のベレネンセス戦からSBとしてレベルの高いプレーを見せた。第3節と第4節はともに敗戦に終わっているが、その中でも彼の高い資質をふんだんに見せている。

 安西は相手FWとの1対1の局面でも負けることはなかったし、またサイドラインを駆け上がり、攻撃参加もする。安西がもうひとつDFとして優れている点は、ほとんどファウルをしないということだ。そのため、まだ1枚もイエローカードをもらっていない。安西はポルトガルでプレーする日本人選手の中で唯一、レギュラーポジションをしっかり掴んでいる選手だ。

 ポルティモネンセに所属するもう一人の日本人選手である権田修一は、控えとしてまだ1試合も出場していない。安西とともに日本代表に選ばれてチームを離れたが、今後、出場機会をつかみたいところだ。