記録的な暴風を観測した台風15号が通過して一夜明けた10日も、千葉県を中心に関東各地では停電が解消されず、住民生活は混乱した。

 エアコンや扇風機が使えず、場所によっては停電が原因で断水も継続。さらには台風がもたらした季節外れの猛暑も追い打ちをかけた。「いつまで耐えなくてはならないのか…」。住民は途方に暮れた。

 停電の発生は、暴風が千葉県君津市の送電線をなぎ倒したことなどが原因。君津の送電線に頼る房総地方の電気が軒並み途絶えた。千葉県鴨川市も9日未明に広範囲で停電。市内の「いずみや鮮魚店」では伊勢エビやアワビを生きたまま入れていた水槽の電気が止まった。店を切り盛りする、原田洋美さん(59)は「売り物にならなくなった」と嘆く。

 自宅では、寝たきりの母(85)や2歳の孫がいるが、エアコンや扇風機は使えない。母の電動ベッドも動かせず、家族が交代で床ずれを防ぐため動かしたり、冷凍庫に残った氷を少しずつ使い、体を冷やしているという。

 こうした中、市内では一夜明けた10日、午前11時半に今年の最高気温となる35・5度を観測した。原田さんは「いつまで耐えられるのか。1分でも早く電気が復旧してほしい」と願う。

 千葉市内でも停電は続いた。若葉区のスーパー「カスミ フードスクエア千城台店」では、冷蔵食品の廃棄を余儀なくされた。周辺の店も同様で物資が枯渇する。このため、同店では10日、水やカップラーメンなどを中心に店頭に並べて販売を始めた。坂本純一店長は「こんなに長い停電は東日本大震災以来。商品にも限りがあるが、できるだけお客さんの要望に対応したい」と話した。

 千葉県内では、停電の影響で一部で休校や休園措置が10日も続いた。

 千葉市美浜区の高浜第一保育所は、この日は再開できたが、冷蔵庫の食材が使えなくなったという。また停電が続く地域から通う職員らもおり、伊東文栄所長(52)は「職員の疲労にも気を配らなければならない」と話した。

 千葉市若葉区の特別養護老人ホーム「恵光園」では停電のほか、断水も続いたという。停電のため、地域一帯に水道水を供給する送水ポンプが停止していることが原因だった。

 入居者125人のために簡易発電機を使った扇風機を稼働させているが、涼しくはならない。停電解消の情報は入ってこず、職員らの不安は募る。体調を崩して搬送された入所者もいるといい、職員の大島亜希子さん(44)は「入居者の体調が心配だ」と訴えた。

 千葉県市原市の県循環器病センターでは、電力使用量を抑えるため、空調の利用を止めた。約100人の入院患者は扇風機や配布した保冷剤で暑さをしのいだという。10日は外来を受け付けず、復旧しなければ11日も受け入れは厳しいとの見方を病院側は示す。

 里見学事務局長は「今のところはないが、今後容体が悪くなる入院患者が出れば、近隣の受け入れ可能な病院への転院も考えなければならない」と話した。