ダイナブックの新たな一手は大画面モバイル。15.6型画面で約1.4kgのdynabook Z発表
シャープ傘下のPCメーカーDynabook株式会社が、個人向けPCの新製品第二弾を発表しました。目玉となるのが、15.6インチ/フルHD液晶で1.399kgからのモバイルノートPC『dynabook Z』シリーズ。日本市場ではまだ珍しい、大画面のモバイルノートPCに属するモデルです。

ラインナップは2グレード/2色構成の計4モデル。本体カラーはオニキスブルーとパールホワイトの2色となります。

すべての機種にMicrosoft Office Home&Business 2019が付属し、店頭モデルの予想価格は廉価機「dynabook Z7」が17万円前後(税別)から、上位モデルの「dynabook Z8」21万円前後(同)。発売日は本体色で異なり、ブルーが9月20日、ホワイトが11月中旬です。


主要パーツから見た基本構成は、「フルHD液晶+Uプロセッサ版第8世代Core i (TDP 15W)級のモバイルノートPCの液晶を、15.6インチに拡大した」ような仕様。

ただしdynabook側は「ハイスペック モダンPC」として位置づけることもあり、拡張端子にはThunderbolt 3を採用し、上位機種のストレージにはインテルの高速SSD『Optane Memory H10』を搭載するなど、一部スペックには注目すべきところがあります。またバッテリー駆動時間も、公称(JEITA 2.0測定法)で約19時間と、比較的長めです。



15.6インチ画面モデルということで注目される本体サイズは、約359×250×17.6mm(幅×奥行き×厚さ)。もちろん液晶面はナローベゼル(狭額縁)仕様のため、特に横幅は同サイズの画面を搭載するモデルとしてはコンパクトです。

また液晶には、シャープ製のIGZOベースパネルを採用。さらに表面仕上げはこだわりのノングレア(非光沢)仕様とするなど、同社の考えるモバイルノートPCとしての実用性を優先した仕様となっています。

本体の外装は高級モデルだけあり、マグネシウム合金ベース。さらに補強が必要な箇所には剛性を高めるべくハニカムリブ構造を採用するなど、重量を増さずに堅牢性を高める工夫が導入されます。


▲記者説明会では、マザーボードが確認できる「開封モデル」も。メモリがSO-DIMM実装というのが隠れたポイント


▲冷却ファンの羽根にはdynabook最新世代の「S-Typeファンブレード」を採用。従来より長く、薄い羽根によってファン回転数の減少とそれに伴う静音化が狙われています

さて、使用パーツの面から見た特徴は、上位モデルdynabook Z8にインテルの高速SSD Optane Memory H10を搭載する点。これはインテルとマイクロンが共同開発した高速メモリ「3D XPointメモリ」をPCI Express SSDのキャッシュとして使う、というユニークな構成の製品。

安価なSSDが苦手とするランダムアクセスなどをOptane側で補うことで、ランダムリード(8GBスパン)は32万IOPS、ランダムライト(同)は25万IOPSと高速化を図っています。また連続リードも2300MB/秒、連続ライトは1300MB/秒と、こちらも非常に優秀なのがポイント。



昨今のモバイルノートPCでは、高速なNVMe(PCI Express接続)SSDの搭載が珍しくなくなりつつありますが、そうした中にあってH10は頭一つ抜けた高速性を備えた製品と呼べる存在。PCの快適性におけるストレージの重要性を知るヘビーユーザーにとっては、見逃せないポイントです。

またモバイルノートで重要な、スリープからの復帰を高速化できる「モダンスタンバイ」にも対応。タッチパッド上の指紋認証センサーを使うことで(再)ログオン手順も一気に済ませられるため、復帰の際に発生する「待たされ感」を大きく減少できます。



さらにZ8では、顔認証カメラも装備。またWebカメラのセキュリティ対策として、不要時には物理的に隠せる、手動で開け閉めできるシャッターも搭載されています。



拡張端子は、Thunderbolt 3(TB3)×2基の搭載がポイント。付属ACアダプタはType-Cタイプ(つまりTB3への接続となります)のため、ACアダプタ使用時は1基占有しますが、2基あれば安心です。また2基の双方とも、電源入力と映像出力(DisplayPort Alt Mode)に対応します。

ここでの隠れたポイントは、TB3端子からの給電の柔軟性が高い点。USB PD対応なのは当然として、公称で「電圧5V/電力7.5W以上のUSB 電源機器で(速度は遅くなりますが)充電可能」を保証している点が白眉と呼べます(昇圧用の高効率DC-DCコンバータを備えているため)。

この仕様のため、緊急時に一般的な5V/2A仕様のモバイルバッテリーを使っても充電が可能となっています。

もちろんUFEI(ファームウェア)は、dynabookシリーズのヘビーユーザーから"dynabook高級モデルの心臓"とも呼ばれる自社製UEFI(通称『立川BIOS』)を採用。電源管理やセキュリティ面などにおいて、東芝時代からの多彩なノウハウが継承されています。



基本仕様に関しては、上位モデルdynabook Z8は以下の通り。
本体サイズ......約359×250×17.6mm(幅×奥行き×厚さ)本体重量......約1.399kg(オニキスブルーモデル。パールホワイトは測定中)ディスプレイ......15.6インチフルHD液晶(IGZO素材採用、シャープ製パネル)CPU......インテル製 Core i7-8565U(4コア8スレッド、基本クロック1.8GHz/ターボ時最高4.6GHz)メモリ......16GB(8GB×2 デュアルチャンネル)ストレージ......512GB SSD(PCIe接続)+インテル Optaneメモリー 32GBバッテリー駆動時間......最大約19時間拡張端子......Thunderbolt 3兼10Gbps USB Type-C×2、USB 3.0タイプA(5Gbps)×2、フルHDMI、3.5mmヘッドセットジャック、マイクロSDカードスロットWi-Fi......Wi-Fi 6(802.11ax)生体認証機能......指紋認証+顔認証(Windows Hello対応)

また廉価モデルdynabook Z7の基本仕様は以下の通りです(Z8と異なる箇所を列挙)。
CPU......インテル製 Core i5-8265U(4コア8スレッド、基本クロック1.6GHz/ターボ時最高3.9GHz)メモリ......8GB(4GB×2 デュアルチャンネル)ストレージ......256GB SSD(シリアルATA接続)生体認証機能......指紋認証(Windows Hello対応)

両モデルの差はCPUやメモリ、ストレージ容量、そして顔認証カメラの有無で差別化されています。



▲キーボードモジュールは12.1インチモデルと共通のため、本体には十分な横幅があるのに、ファンクションキー(Fキー)やいわゆる右手側記号キーなどは小さめ。このあたりは正直なところ評価が分かれそうです

このようにdynabook Zシリーズは、昨今日本でも注目されつつある、大画面モバイルノートPCのスタンダードともなりそうな仕様を狙ったモデル。

短時間ながら試作機に触れてみたところでは「このクラスのモバイルノートPCを購入するユーザーならば、高解像度液晶のオプションがあったほうがベターでは」「本体が大きく、またキーボードの左右に大きな余裕があるのに、キーボードの一部記号キーが幅の狭いタイプになっている」といった点などが気になりましたが(モジュールは同時発表されたdynabook Sシリーズと共通の模様)、全般的には良い意味で非常にソツのない、dynabookらしいこなれたモデルとなっています。

「持ち運びできるレベルの重さでなるべく大画面のノートを」「屋外で使うPCと自宅でのPCを可能な限り統一したい」といった要望を持ったユーザーにとっては、十分注目に値するPCと呼べそうです。

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