会見に臨んだオダギリジョー

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 俳優のオダギリジョーが9月9日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で会見し、長編監督デビューを飾った「ある船頭の話」について、海外メディアとの質疑に応じた。

 先日閉幕した第76回ベネチア国際映画祭では、イタリアの批評家が選出する「ベニス・デイズ」部門に選出され、オダギリ監督は主演の柄本明、共演する村上虹郎と現地入り。「自分が想像している以上に、本当に温かい拍手をいただき、幸せでした。逆にあまりに反応が良すぎて、居心地の悪さも(笑)。とても自信になりました」と報告した。

 橋の建設が進む山村を舞台に、川岸の小屋に暮らし、村と町を繋ぐため船頭を続けるトイチ(柄本)が、時代の変化と突如目の前に現れた少女によって、人生を大きく狂わされていく。村上がトイチを慕う村人・源三を、新人の川島鈴遥が謎めいた少女役を演じている。

 今回、満を持して長編監督に挑んだ理由について「いくら作りたいと思っても、俳優の立場を利用し、甘えて撮るのはいいことじゃないと思っていた。(俳優なので)フェアな評価もいただけないような気がして、これだけの時間がかかった」と説明。さらに「詳しくは話せないんですけど」と前置きし、「健康診断の結果が、あまり良くなくて。大げさな話、残された自分の時間を改めて考えて、やっぱり映画が撮りたいと思った」と神妙な面持ちで語った。

 俳優であるオダギリが、俳優陣を演出することについて問われると「信頼している先輩たちをお呼びしているので、芝居をつけるのは避けました。(俳優が)役を考えるのは当たり前ですし、深めるのが役目。こちらが説明するのは野暮ですよね」。外国人通訳が「野暮?」と日本人特有の概念に戸惑いを見せると、オダギリ監督は「うーん、まあ『必要ないこと』って意味ですね」とフォローする一幕もあった。

 映画には伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優、笹野高史、草笛光子、細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功らが共演。撮影監督はクリストファー・ドイル(「ブエノスアイレス」「恋する惑星」)が撮影監督を務めたほか、ワダエミが衣装デザインを担当し、音楽を映画音楽初挑戦となるアルメニア出身のジャズピアニスト、ティグラン・ハマシアンが手がける。「ある船頭の話」は、9月13日から新宿武蔵野館ほか全国公開。