若旦那/新羅慎二(撮影・弦巻勝)

関連:草なぎ剛『週刊大衆』に登場!「自分が楽しむことを優先したい」


 自分には4つ年上の兄がいるんですけど、その友達に“チーマー”がいて、小学生の自分には憧れの存在でした。5年生くらいから渋谷にもよく遊びに行くようになって、中学に入るときには、当時、街で一番強かったチームから勧誘が来た。「お、ドラフト1位にかかったぞ」って、うれしかったですね(笑)。

 ただ、当時のチーマーは、スポ根マンガのような感じで。仲間を助けるために、素手でタイマンを張って……みたいな世界でした。でも、そんな生活してたんで、通っていたのは私立の中学だったんですけど、1年で中退してしまいました。

 それから公立中学に転入して、普通に高校に行くようになって、高2ぐらいでチーマーは辞めました。だんだん、行動がエスカレートしていって、悪いこともするようになってきて、連中とつるむのがツラくなってきたんです。自分は気持ち的に優しかったんでしょうね。

 その後、絵が好きだったんで美術系の大学に行ったんですが、すぐに辞めて。次に司法試験を受けようと大学の法学部に入って、そこも中退。もともと、「なんでもやってみないと分からない」って思う性格なんです。まずは自分でやってみてから決める。でも、美術も法律も“なんか違う”と感じてしまったんですよね。

 結局、大学を辞めて東京を離れ、湘南でバイト生活を始めました。居酒屋で働いていたんですが、店長にいろいろと店のアイデアを出しているうちに、「もう、おまえがやってくれよ」って話になって。経営を任されたので、店をレゲエバーに改装しちゃったんです(笑)。音楽の道に入ったのは、それからですね。

 ミュージシャン、俳優、会社経営と、今、自分はさまざまな活動をしていますけど、人って誰もがたくさんの引き出しを持っていると思うんです。ひとつの引き出しだけじゃなく、他のも開けてみたい。違う引き出しの中にはどんな自分がいるんだろうって、興味があるんですよ。

 音楽グループ「湘南乃風」の若旦那という存在も、結局は“新羅慎二”という人物が持っている引き出しのひとつでしかない。でも、若旦那は「湘南乃風」のもの。“不良のお兄ちゃん”というイメージもあるし、その名前だけが一人歩きして、本来、自分が思っていた方向とは違うところに行ってしまうこともある。

 だから最近は、若旦那以外のいろいろなものを表現するために、本名の「新羅慎二」としても活動するようになりました。

■おまえのスタイルはシャーマンと一緒だ

 自分の新たな引き出しを開けてくれる物として、監督や脚本があります。演じることで新しい自分を見つけられたときには、一種のデトックスを感じますね。すごく心が軽くなって楽しいんですよ。

 今回の映画『影に抱かれて眠れ』もそうでした。ヤクザ役を演らせてもらいましたが、実はこれまでワルの役は避けていたんです。こんな風貌なので、1回受けると悪役しか回って来なくなりそうで嫌だったんですね。さまざまな役柄を経験して、そろそろいいかと今回の作品で悪役の封印を解いたら、自分の中から役があふれ出るかのようでした。もともと“ヤクザオタク”だったこともあって(笑)、いろいろと演技のアイデアが沸き上がってきましたね。

 ミュージシャンとしてステージに立つときと、俳優としてカメラの前に立つときでは、気持ちの上では一緒です。何かが自分に降りてくるというか……。経験を基にして書いた曲を歌うときは、その当時の自分になって歌う。俳優も役柄として誰かになりきりますよね。“おまえのスタイルはシャーマンと一緒だ”なんてよく言われます(笑)。

 今後、役者として挑戦してみたいのは「時代劇」です。歴史が大好きなので、武田信玄とか戦国時代の武将を演じてみたい。そのために、実は乗馬を習っているんですよ。『暴れん坊将軍』のように、馬で海岸を走りたいんで(笑)。髪を伸ばしているのも、そういう気持ちの表れ。いつでも“サムライ”できますよ。

若旦那/新羅慎二(わかだんな/にらしんじ)

1976年、東京都生まれ。2003年、音楽グループ「湘南乃風」のメンバーとしてデビュー。2011年にソロデビュー。自身の活動の他にも、プロデュースや作詞という形で多くのアーティストの作品に参加。2017年にはドラマ『下剋上受験』(TBS系)で本格的に俳優業にも進出。2018年からは本名の「新羅慎二」名義でも活動。ミュージシャン、俳優以外でもラジオパーソナリティや漫画原作など活動の場を広げている。