初めてのW杯アジア予選となる久保だが、年代別代表では幾度となくアジアの舞台で戦っている。ピッチ状態などへの適応は問題なさそうだ。写真:徳原隆元

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 2022年カタール・ワールドカップへの新たなスタートとなる2次予選初戦・ミャンマー戦が10日に迫ってきた。日本代表は6日にヤンゴン入りし、7日からトレーニングを行なっているが、現在のミャンマーは雨季真っ只中。1日の間に何度もスコールが降り、湿度が非常に高い状態が続いている。
 

 もちろんトゥンンナ・スタジアム横の練習場のピッチコンディションも芳しくない。芝生とは言えない雑草が生い茂り、ピッチは緩い。そこに時折、豪雨が来るのだから、ドロドロのピッチになるのは間違いない。
 
 初日の練習後、泥だらけの状態で報道陣の取材に答えた最年長GK川島永嗣(ストラスブール)が「まあGKはこんなもん。水たまりがあればボールが止まることもあるし、逆に伸びることもある。ボールの起動も泥がついていれば変わる。ホントに最後までボールに食らいついていくしかない」と覚悟を口にするほどだった。
 
 スタジアムの方は多少は良好な状態かもしれないが、5日のパラグアイ戦(鹿島)で見せたような連動性の高いサッカーを実現するのは困難だろう。となれば、割り切った戦いが必要になる。ショートパスをつなぐような試合運びではなく、時には大きく蹴り出したり、カウンターやリスタートで得点を狙うなどの的確な判断が求められる。
 
 そうした点において、チーム最年少ながら、年代別代表での4年間で豊富なアジアでの経験を持つ久保建英(マジョルカ)は貴重な存在だ。「(ピッチ環境の悪い中でのプレーは)アンダーの時から森山(佳郎)監督のチームで多く経験を積ませてもらっているんで、自分はその点は心配ないかなと思います」と本人もピッチ状態や悪天候への不安はないようだ。
 
 確かに久保は悪環境でも決して動じることなくボールを収め、試合をコントロールし、フィニッシュまで持っていける。それはレベルが上がるA代表になっても十分可能と見られる。
 
 ただ、過去の積み上げを重視する手堅い森保一監督は最初から18歳のアタッカーを起用することは考えにくい。パラグアイ戦同様、後半からジョーカー的に起用される可能性が大だ。ポジションがトップ下か右サイドかというのは状況次第だが、久保は周囲の選手の特徴を考えながら、お膳立てに回るべきかフィニッシュに行くかの判断を臨機応変に下せる選手。大迫勇也(ブレーメン)や南野拓実(ザルツブルク)らとの共存関係ならお膳立てをメインにするだろうし、大迫と2トップ気味に出るような形なら、よりドリブル突破とシュートを前面に押し出すはず。その柔軟性は指揮官にとっても使い勝手がいい。自陣にベタ引きしてくると予想されるミャンマー守備陣を打開するには、硬軟使い分けができる彼のようなタイプが必要だ。
 
 もうひとつの強みはFK。流れの中から崩せない状況に陥った時、ひと蹴りでゴールを奪える選手の存在は非常に心強い。過去の日本代表には中村俊輔(横浜FC)、遠藤保仁(G大阪)、本田圭佑といったFKの名手がいたが、その後は直接FKから得点できる選手が出てきていない。
 
 2018年11月のキルギス戦(豊田)で原口元気(ハノーファー)が約5年ぶりのA代表直接FK弾を決めたものの、GKのミスから生まれたゴールということで「カウントしないで。思い通りに蹴れたわけでもないし」と不満顔だった。このアクシデント的なFKを除けば、日本代表は約6年間もFKからゴールを奪っていない。久保にはその壁を破れるだけのポテンシャルが大いにある。そこはミャンマー戦で見せてほしい点だ。
 
 いずれにせよ、インテリジェンスと環境適応力のある万能型アタッカーの久保に寄せられる期待は大きい。カタールへの初陣で日本の新エース候補と言われる男がどんなパフォーマンスを見せるのか。その一挙手一投足を興味深く見守りたい。
 
取材・文●元川悦子(フリーライター)

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