パラグアイ戦でボランチとして存在感を示した橋本。写真:徳原隆元

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 日本が2−0でパラグアイを下した親善試合で、橋本拳人がスタメンとして“真”のA代表デビューを飾った。“真”と表現したのにはもちろん理由がある。
 
 パラグアイ戦を迎える前、橋本は森保一体制下ですでに2キャップを刻んでいたが、19年3月26日のボリビア戦、同6月9日のエルサルバドル戦のスタメンはいずれも控え組主体と言っていいメンバー構成だった。しかし、パラグアイ戦はその2試合と意味合いが違った。
 
 先発に名を連ねたのは、キャプテンの吉田麻也をはじめ、大迫勇也、中島翔哉、柴崎岳、長友佑都などバリバリの主力組。テストマッチとはいえ、このメンバーの中でどこまでできるか。橋本にとって“真”の力が問われる一戦だったのだ。
 
 パラグアイ戦前日に主力メンバーに入って「緊張した」橋本はそれでも「考えすぎるとよくないので、無心で臨んだ」結果、上手く試合に入れた印象だった。同じボランチの柴崎と連係を取りつつ、最終ラインからボールを引き出し、流れるようなトラップから前線につなぐようなシーンが前半は何度か見られた。守っては鋭い出足でピンチの芽を摘み、緊張は微塵も感じられなかった。
 
 ただ、メンバーも代わったせいか、後半途中からはペースダウン。終盤に押し込まれる時間帯もあり、試合を通して安定したパフォーマンスだったとは言い難った。橋本自身もパラグアイ戦の出来についてはこう語っている。
 
「強度の高い90分間でした。でも、試合を通して高いパフォーマンスは出せなかったので、課題も感じました。前半は良いポジションを取りながら、リスク管理しながら上手くプレーできていましたが、疲労が溜まるにつれて判断や動きの質が落ちてしまって。90分間戦える体力、強度が必要だと思いました」
 
 とはいえ、悪い印象はない。どちらかと言えば、このメンバーの中でも違和感なくできていたのではないか。「最後まで泥臭く戦う、球際のところで戦う。相手からボールを奪って起点になるプレーもしっかり出そうと思って、それを出せた場面も何度かあった」、さらに「Jリーグでは感じることができない強度でプレーさせてもらえたのは収穫」と話す橋本本人も、それなりに手応えは掴んでいたのではないか。
 
 そんな橋本が代表定着、ひいては森保ジャパンで不動のレギュラーになるにはここからが本当の勝負だろう。
 
 「相手の動き出しやフィジカルにも強度を感じましたし、チームメイトのボール回しのテンポやポジショニングの修正の精度は全然違うものを感じました。頭も身体も疲れた90分でした」
 
 そう言うように、代表戦で得るものは大きい。それがワールドカップ予選ともなればなおさらだ。その意味で重要なのが、9月10日のミャンマー戦。カタール・ワールドカップ・アジア2次予選の初戦、しかもアウェーである。ある意味特別な状況下でスタメン出場できれば、この試合は橋本にとって大きなターニングポイントになるだろう。今後、代表で生き残れるかという観点からしても、ここで活躍できるか否かは大きなポイントだ。
 
大袈裟かもしれないが、ミャンマー戦は橋本のキャリアを左右する一戦になるかもしれない。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)