パラグアイ戦では得点こそなかったものの、久保は随所に輝きを放った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 森保一監督らしく気配りが込められたスタメンだった。
 
 最近の成長度、充実ぶりを考えれば、久保建英の起用が妥当だった。だが監督就任時から採用してきた2列目のトリオは、当然完成度が高いし再度確認しておきたかったに違いない。またここで堂安律を外せば、モチベーションの低下も気になるところだ。一方日本代表の最年少得点記録がかかる久保は、相手が疲弊する後半から出す方がチャンスも広がる。実際久保は自ら「他に選択肢があるのにシュートを狙った」と語ったように、通常以上にゴールへの拘りを見せていた。

 
 結論から言えば、やはり個々が速やかな連動を見せて、相手を効果的に崩せていたのは前半だった。パラグアイがマンマークをベースとするのを見越して中島翔哉と堂安が敢えて中に入り、サイドバックが上がる外側のスペースを開けて2ゴールを奪っている。攻撃側が中央に集まり、マーカーを吸い寄せれば必然的に外が空く。先制点は、中央で中島と堂安が絡み、長友佑都が外をフリーで駆け上がったし、2点目も中島がバイタルエリアで持つと、堂安が右サイドから内側へ走って相手を引きつけ、外側の酒井宏樹がフリーになった。また16分にも同様のシーンがあり、堂安のフリーランに牽制されたパラグアイDF2人が動けず、右サイドを上がった酒井のパスを受けた大迫勇也は中央からフリーで狙っている。あるいは、自陣から中島と南野拓実がダブルでパス交換をしながらカウンターを仕掛けたシーンでは、1トップの大迫が右に流れたのを見て、堂安が空いた逆側のスペースへ走りGKと1対1の絶好機を築いた。
 
 円熟期に入った大迫のポストワークを活かしながら、2列目トリオが臨機応変にポジションを変え、スムーズにハイテンポで互いにスペースを作り、それを利用する。さらにパラグアイの守備陣の意識が中央に傾けば、両SBが悠々と駆け上がる。本来堅守を誇るパラグアイのコンディションが酷過ぎて、前半から球際も含めて日本が圧倒出来ていたのが、ある意味では誤算だったが、このレベルの相手なら十分に計算できる組織的な攻撃力は確認できた。
 
 逆に後半は互いにメンバーも代わり、さすがにパラグアイも相当に叱咤されて出て来たはずなので、日本代表も現状のスタメンが最善と結論づけるのは早計だ。まず後半早々には大迫を永井に代えたが、周囲が最前線のキャラクターの変化に対応できなかった。一方左サイドも中島から原口元気に代わった影響もあり、前半のように有機的なポジションチェンジがなくなり、久保のワンマンショーの様相さえ呈してしまった。
 
 結局浮き彫りになったのは、相変わらずの大迫依存と、久保の融合という課題である。前者は永井謙佑、鈴木武蔵、前田大然などスピードスターに活路を求めようとしているようだが、世界基準の相手に彼らが輝くスペースを見出せるかが未知数だ。一方久保は、狭いスペースの中でも最も精密な仕事が出来るが、状況判断とそれを具現する技術に特徴があるので、サイドに限定するのが必ずしも得策とも思えない。
 
 例えばFC東京時代も、久保が中央でカウンターの起点となり、ディエゴ・オリヴェイラと永井を活かす形が効果的だった。サイドで1対1の形を作るよりは、相手の対応次第でパスもドリブルも繰り出せる自由度の高い役割を与えた方が活きるはずだ。確かに現状の4-2-3-1なら、右サイドでの起用に落ち着くのだろうが、ザック時代に左サイドに押し出された香川真司のような窮屈さが否めない。将来的には、大迫+2シャドーなども含めて最適解を探っていくことになるかもしれない。
 
 いずれにしても、日本代表で最激戦区の2列目の軸が久保に変わりつつある。18歳の経験値云々ではなく、それは才能の大きさから考えて必然の流れだ。早晩指揮官には、久保を最大限に活かすことから逆算したフォーメーションの再考が必要になるはずである。
 
取材・文●加部 究(スポーツライター)

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