アルゼンチンでの監督復帰が決まったマラドーナに、かつての恩師がエールを送った。 (C) Getty Images

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“神様”の帰還にアルゼンチンが沸いている。

 現地時間9月5日、アルゼンチン1部リーグのヒムナシア・ラプラタは、ディエゴ・マラドーナの監督就任を発表した。

 言わずと知れたアルゼンチン・サッカー界の英雄であるマラドーナは、両膝の状態が歩行困難になるほど芳しくなかったため、今年6月にメキシコ2部のドラドス・シナロアの指揮官を就任からわずか9か月で辞任していた。

 それから約3か月――。アルゼンチン・リーグ最下位に沈むヒムナシアへの電撃就任を決めたマラドーナは自身のインスタグラムで、「ここの新監督になることができてとても嬉しい」と、1995年にラシン・クラブを率いて以来、約24年ぶりに母国のクラブを率いることへの意気込みを綴った。

「この機会を与えてくれたガブリエル・ペレグリーノ会長に感謝し、クラブのために魂、そして命を懸けて働くとファンに伝えたい」

 英雄の現場復帰には識者たちも驚きを隠さない。元アルゼンチン代表監督で、1978年に母国を初のワールドカップ王者に導いたセサル・ルイス・メノッティは、全国紙『Ole』の取材に応じ、「ディエゴがピッチにいることを喜ばないスタジアムなどない」とコメントした。

「とても幸せな知らせだ。ディエゴはサッカー場かボールの近くにしか存在できない。それは彼自身の人生であり、夢なんだ。彼がピッチにいることを妨げるものは何もない。元気に、よく働き、そして楽しんでもらいたい。彼はその人生であらゆることをやってきたが、結局、彼を幸せにするのはボールだ。ディエゴはボールを持って生まれ、ボールを持って死ぬんだろう。本当に羨ましいよ」

 現在アルゼンチン代表のテクニカルディレクターを務めている80歳の“賢人”は、1979年に東京で開かれたワールドユースなどで指導した教え子に監督としての助言も忘れなかった。

「君に一生を与えたボールとともに、幸せになりなさいということだね。サッカーボールを持てば、彼はマイクを握ることや他のあらゆることよりも幸せになれる。彼とボールはタンゴのように一心同体なんだ」

 果たして、マラドーナは不振に喘ぐヒムナシアを窮地から救い出せるのか。その采配に刮目したい。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部