2019年9月5日に行われた日本対パラグアイ戦を1年後、2年後に振り返ることがあったら。「相手のコンディションが良くなかった」というワンフレーズで、多くの人は2対0の一戦をまとめるに違いない。
 
 パラグアイは疲労感を隠せなかった。守備に軸足を置くのは彼ら伝統のゲームプランだが、奪ったボールを攻撃につなげられないのだ。日本の守備がそれなりにソリッドだったとしても、決定機が1度だけでは勝機を見いだせるはずもない。記録上は3本のシュートを放った後半は、ほぼノーチャンスで終えている。

 コンディションについては、日本も万全ではなかった。19人の海外組は、時差を抱えたまま戦っている。内容を伴った結果を期待するのは難しい。

 だとすれば、日本にとってのパラグアイ戦はどんな意味を持つのか。

 9月10日に控えるミャンマー戦に向けて、一人ひとりの選手が“日本代表仕様”の思考へ戻す機会である。同時に、チームのコンセプトを呼び覚ます時間だった。

 森保一監督のもとで初めて試合に臨んだのが、18年9月11日のコスタリカだった。ほぼ1年の時間が過ぎ、チームの土台は強固になっている。パラグアイ戦では前線から規制をかけ、攻撃のスイッチとなるパスは厳しくチェックした。しっかりとした守備を、攻撃に結びつけていた。
 
 19本のシュートで2対0は、物足りないかもしれない。チャンスを確実に生かしていれば、少なくともあと2点は取れていただろう。後半から出場した久保建英は、バー直撃の一撃を放った。
 
 得点は多いほうがいい。しかし現実的には、1対0でも2対0でも、3対0でも4対0でも、パラグアイ戦の意味は変わらない。真剣勝負の直前のテストマッチは、課題を残すぐらいがちょうどいい。
 
 ミャンマーとのW杯2次予選の初戦が迫り、15年6月のシンガポール戦が話題に上がることが増えている。ヴァイッド・ハリルホジッチの指揮下にあったチームは、2次予選のスタートとなるホームゲームを引き分けた。だからミャンマー戦にも十分な警戒が必要である、といったものである。

 シンガポールから勝点を奪えなかった一番の要因として、当時は相手のGKがキャリア最高と言っていいパフォーマンスを見せたことがあげられた。23本のシュートを浴びせながらゴールを奪えなかったのだから、相手GKを褒めるしかなかったのは事実である。
 
 見落としていたことが、ひとつある。

 シンガポール戦の直前に、日本はイラクとテストマッチを行なった。結果は4対0の快勝だった。本田圭佑、槙野智章、岡崎慎司、原口元気がゴールネットを揺らした。ヴァイッド・ハリルホジッチの就任後3連勝でシンガポール戦を迎えることになり、警戒心が緩んでいたのではないかと思うのである。

 日本対パラグアイ戦が行われた5日には、アジア各地で2次予選が行われた。結果だけを眺めると、初戦の難しさが浮き彫りになる。

 アジアでは上位にランクされるウズベキスタンが、アウェイでパレスチナに0対2で敗れた。ウズベキスタンと同じ第2シード格のヨルダンも、アウトサイダーのチャイニーズ・タイペイと、2対1の接戦を演じている。

 パラグアイ戦の試合後、森保一監督は「どんな試合でも予選は難しくなる、と自覚している」と話した。2点をリードした前半とは対照的に、後半はチャンスそのものが減り、追加点を奪うことができなかった。指揮官は「3点目を奪うチャンスはあった。選手が入れ替わったなかでも、もっと安定したゲームができたのでは」と振り返った。

 勝利はつかんだものの、内容的には課題を残した。結果的にそれが、ミャンマー戦へ向かうチームを引き締めると思うのである。森保監督のチームには、シンガポール戦の経験者もいる。4年前とは違う戦いを見せられなければ、そもそもアジア予選突破など覚束ない。