クロスバー直撃弾もありながら結局はノーゴール。パラグアイ戦の久保は決してスーパーではなかった。写真:徳原隆元

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 カシマスタジアムでのパラグアイ戦(9月5日)の後半、久保建英がボールに触れる度に歓声があがるが、そこでふと疑問に思う。「オオッー」と唸るほど凄いプレーをしているのか、と。

 確かに、久保は見せ場をいくつか作った。優れた技術を生かしたドリブルでパラグアイの選手を手玉に取れば、空いたスペースに絶妙のタイミングでスルーパスを出すなど、視覚的に美しいプレーも披露した。しかしながら、そうしたプレーはFC東京時代にも目にしている。冷静に振り返れば、結果につながる特別な何かをやったわけではない。パラグアイ戦での久保の出来を主観で述べるなら「あれぐらいのパフォーマンスはFC東京でもやっていた」になる。

 もちろんクラブの試合と代表戦は違うから単純に比較できない。ただ、パラグアイ戦の久保が絶好調だったかと言えばそうではないだろう。目に付いたのはむしろミスだ。

 実際、後半に放ったシュート5本のうち、結果的に枠内に飛んだのは63分のFKのみ。58分に原口のクロスに左足で合わせたシュートは決めるべきだったし、69分に角度の狭いところから打った一撃も結局はクロスバーだった。本人が「打ったからには全部決めないといけない。入っていないことがすべてなので」と反省していたように、ノーゴールという事実を見逃してはいけない。

 この試合、個人的にマン・オブ・ザ・マッチを挙げるなら、FWの大迫勇也。23分にチームに勢いをもたらす先制弾を叩き込み、その後も攻守に渡り強靭かつインテリジェンスなプレーを見せつけた彼の貢献度は計り知れなかった。

 この日の主役は断じて久保ではない。むしろ58分の決定機逸で3−0と突き放せなかったこと、あれだけゴールにこだわっているように見えて枠外のシュートが目立ったこと、それらを踏まえればパラグアイ戦のパフォーマンスはそこまで評価できない。

 まだ18歳で、A代表経験も浅いのだから仕方ないとの見方もできるが、正直、代表戦に年齢も経験も関係ないだろう。なにより求められるのは結果。その点で、パラグアイ戦の久保は決して“スーパー”ではなかったのだ。

 それでも、久保がボールを持てばスタジアムは歓声に包まれた。もっとも違和感を覚えたのは、後半開始前に彼がピッチに現れただけで観衆のボルテージが異様なほど高まったこと。この夏、スペインへと旅立った久保のプレーを久々に日本で見られる、そこにある種の興奮があったのは分かるが……。あの大歓声は、久保がゴールに絡んだ時にこそ相応しいものだった。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)