パラグアイ戦で緊急登板も、見事クリーンシートに抑えてみせた。写真:徳原隆元

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[キリンチャレンジカップ]日本2-0パラグアイ/9月5日/茨城県立カシマサッカースタジアム
 
 パラグアイ戦での先発は急に訪れた。
 
「嘘をつく必要はないから言いますけど、今日はダン(シュミット・ダニエル)が怪我して、急に試合に出ることになった」と試合後に先発の真相を明かしてくれた。
 
 権田にとってはラッキーだが、所属のポルティモネンセでは今季もレギュラーを掴めず、公式戦の出場は、なんと昨季のポルトガルリーグ最終節(5月19日)以来のことだった。
 
 思わぬ形で巡ってきた久しぶりの出番――それでも権田に焦りや緊張はなかった。
 
「結局GKってそういうもんじゃないですか。『行くよ』って言われたときに、『行けるよ』って言ってやらなきゃいけない。基本的に急にしか出番は来ないから。試合中に(レギュラーの)GKが退場していきなり出番が来て、即PKっていうほうがきついですよね。今日のように、アップも一緒に出来て、スタートから試合に出れるのは、まだGKとしては準備ができるほう」
 
 たしかに緊急登板にもかかわらず、パフォーマンスは実に安定していた。特に大きな見せ場は、36分と37分に立て続けに訪れたピンチをファインセーブで阻止した場面だ。
 
 36分にエリア内に侵入してきた相手の至近距離からのシュートを、右手1本でブロックすれば、37分には痛烈なミドルシュートを横っ飛びで弾いてみせたのだ。
 
 その反応の素早さからは、いわゆる試合勘などの物足りなさはまったく感じさせず、神経が研ぎ澄まされていることがうかがえた。
 
「このレベルだったら、良いセーブも何本かはあるんじゃないですか。今日はこっちのほうがチャンスは多かったし、こういう試合を逆にゼロで抑えられないと、って感じです」
 
 そう笑って振り返った権田だが、もしかすると、クラブでなかなか出番を得られていない状況が今回に限っては、プラスに働いたのかもしれない。
 
「向こうで試合に出ている状況だったら、急に出番が来た時にバタバタしたかもしれない。もちろん試合に出なければいけないけど、向こうではいつでも出られるように想定して過ごしているので。逆に今までやってきたのが間違っていなかったんだなという確認はできた」と、権田はポジティブに捉えている。
 
 だが当然「一番良いのは所属チームでも代表でも試合に出ること。それは僕だって分かっている」。

 川島永嗣、シュミット・ダニエルとのポジション争いは、熾烈だ。
 
「次のミャンマー戦でまた誰が出るか分からない状況になりますけど、僕の場合は次ミャンマー戦に出れても、結局チームに戻って試合に出られなかったら、また同じ状況になる。だから代表で試合に出るのもそうですし、クラブでもしっかり試合に出られるようになるというのが大事になる」
 
 パラグアイ戦で安定感を見せつけ、少なからずアピールできたかもしれないが、クラブで出番を得られなければ、継続した評価にはつながりにくい。
 
「1試合ゼロで抑えたから、次抑えられる保証は当然ない。毎試合ゼロで抑えるための努力をまた明日から、準備していかなきゃいけない」
 
 この試合のクリーンシートをきっかけに、今後の代表でも、またクラブでもレギュラーを勝ち取りたいところだ。約4か月ぶりに出場した公式戦がターニングポイントになるかもしれない。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)