8月28日、トヨタ自動車(株)(TSR企業コード:400086778、法人番号:1180301018771、愛知県豊田市、東証1部、以下、トヨタ)と、スズキ(株)(TSR企業コード:450214354、法人番号:8080401002431、浜松市南区、東証1部)は資本提携の合意書締結を発表した。
 両社は2016年10月12日、業務提携に向けた検討を開始。2019年3月20日にトヨタが持つ電動化技術とスズキが持つ小型車技術を持ち寄り、商品の補完や共同開発、生産領域での協業に向け具体的検討の着手を公表していた。
 東京商工リサーチ(TSR)は、トヨタとスズキ、両社のグループ会社と直接取引のある1次、間接取引の2次の取引先数を調査した。
 「トヨタおよびスズキ、両社グループ会社」の総仕入先は3万3,946社(重複除く)、販売先は1万9,540社(重複除く)に及ぶことがわかった。
 また、「トヨタおよびスズキ、両社グループ会社」の1次仕入先(1万1,778社)の本社地は、愛知県が3,726社(構成比31.6%)で最多だった。次いで、東京都2,142社、大阪府1,027社と大都市が続く。同じく1次販売先(7,642社)の本社も、愛知県が1,094社(構成比14.3%)で最多だった。仕入、販売ともにトヨタと関連会社が本社を置く愛知県に集中した。
 規模別では、資本金1億円未満(個人企業を含む)の企業が、1次仕入先のうち、1万52社(構成比85.3%)。2次仕入先の2万5,594社では1万9,581社(同76.5%)と、約8割を占めた。
 「トヨタおよびスズキ、両社グループ会社」の取引先が重複するのは、1次仕入先で411社(同3.4%)、1次販売先では105社(同1.3%)にとどまった。
 世界シェア3位のトヨタ、国内軽自動車シェア2位のスズキは、取引先や市場の重複が少なく、グローバル市場化と技術革新が進む自動車産業で、再編を促す契機になる可能性を秘めている。


  • 本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、トヨタ自動車とスズキおよび両社グループの仕入先、 販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分け、業種、地区、規模などを抽出、分析した。
  • 1次取引先は直接取引のある取引先、2次取引先は1次取引先と直接取引がある間接取引企業を示す。
  • トヨタ自動車とスズキのほか、両社の2019年3月期の有価証券報告書に記載されている国内連結子会社(トヨタ自動車10社、スズキ11社)と同持分法適用会社(同21社、同1社)の計45社を対象とした。

トヨタ・スズキグループの取引先 1次仕入先の最多産業は製造業

 「トヨタおよびスズキ、両社グループ会社」の取引先を産業別でみると、1次仕入先では製造業が5,441社(構成比46.1%)で最多。次いで、卸売業2,099社(同17.8%)、サービス業他1,635社(同13.8%)と続く。また、2次仕入先(2万5,594社)は、最多が製造業の1万1,984社(構成比46.8%)。以下、卸売業7,475社(同29.2%)、サービス業他1,754社(同6.8%)と続く。
 1次・2次の仕入先で最多だった製造業を、業種別に細分化すると「自動車部分品・附属品製造業」「金属用金型・部分品・附属品製造業」「金属工作機械製造業」「金属プレス製品製造業」など多岐にわたり、下請け産業のすそ野の広さを示している。
 販売先では、1次販売先(7,642社)の最多が小売業の2,618社(構成比34.2%)。次いで、製造業1,703社(同22.2%)、卸売業1,122社(同14.6%)の順。2次販売先では、製造業が4,651社(同35.0%)で最も多く、以下、卸売業2,883社(同21.7%)、サービス業他1,629社(同12.2%)と続く。

取引先の本社地 1次仕入先は愛知県と静岡県の中部が最多

 「トヨタおよびスズキ、両社グループ会社」の取引先の地区別では、1次仕入先はトヨタが本社を置く愛知県、スズキが本社を置く静岡県のある中部地区が5,219社(構成比44.3%)で最も多かった。次いで、関東3,652社(同31.0%)、近畿1,640社(同13.9%)と続く。
 2次仕入先は、関東が9,480社(同37.0%)で最多。次いで、中部7,764社(同30.3%)、近畿4,611社(同18.0%)の順。販売先は、1次・2次ともにユーザー人口が多い関東が最多で、次いで、中部、近畿と続く。
 都道府県別では、1次仕入先(1万1,778社)の最多は、愛知県3,726社(構成比31.6%)。次いで、東京都2,142社(同18.1%)、大阪府1,027社(同8.7%)、静岡県912社、神奈川県644社の順。トヨタと関連会社の多くが本社を置く愛知県は、他の都道府県に比べ取引先の多さが際立った。
 1次販売先(7,642社)では、愛知県が1,094社(構成比14.3%)で最も多かった。以下、大阪府1,075社(同14.0%)、東京都968社(同12.6%)と続く。


 今後、トヨタはスズキが実施する第三者割当と自己株式の処分でスズキの普通株式2,400万株(総額960億円、発行済株式総数の4.94%)を、スズキは市場買付で480億円相当のトヨタ株式を、それぞれ取得する予定という。
 自動車産業を取り巻く経営環境は、電気自動車の台頭もあり大きく変化する兆しが出ている。世界シェアトップ争いを繰り広げるトヨタも、環境問題など社会的要請に対応した新技術・新製品への設備投資、設備更新などに総額1兆3,830億円(2019年3月期)を投資した。
 また、スズキも同期に2,455億円の設備投資を実施している。
 トヨタの豊田章男社長は6月13日、同社の株主総会で「自動車産業は100年に1度の大変革期を迎えている」と述べた。世界的企業でも、グローバル競争のなかで時代の流れに合わせた経営が求められる。今回の両社の提携は、国内自動車メーカーに大きな一石を投じた。
 今後、グローバルなビジネス分野で生き残るには、株主、取引先、従業員等のステークホルダーへの説明責任だけでなく、ユーザーに新たな「強み」をアピールすることも必要だろう。