U-22日本代表FW小川航基

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 物語は新たな章に突入した。世代屈指のストライカーであるU-22日本代表FW小川航基は水戸ホーリーホックへ育成型期限付き移籍を機に上昇気流に乗ったようだ。

 代表のユニフォームを着て試合に出れば点を取る選手だった。しかし、絶大なる信頼を寄せられて迎えた17年5月のU-20W杯グループリーグ第2戦南アフリカ戦で負傷し、検査を受けた結果、左前十字靭帯断裂および左ヒザ半月板損傷と診断された。その後クラブから全治6か月であることが発表され、約9か月もの間、公式戦から離れることになった。そして復帰後も当時所属していた磐田ではピッチに立つ機会が限られ、7月に水戸への移籍を決断した。

 だが、ここで高い得点能力を改めて見せ付けることとなった。「出場機会という部分やコンディション的な面でも大きなプラスだった」とピッチに立つ機会を得るだけでなく、レギュラーの座を奪取。さらに加入後8試合で5得点というゴールラッシュに「試合に出れば点を決められる自分の強みを確認できたのはいいこと。まだ多く取れているわけではないので、もっともっと取れればいい」と自らの強みを再確認している。

「やっぱり点を取れないと間違いなく生き残っていけないし、そこを怠ると自分には何もなくなってしまうので、点を取ることだけは意識して、やっていかないといけない」

 負傷離脱時は「先が見えない状況」となり、復帰後も「なかなかコンディションが上がらなかった」時期もあったが、東京五輪のことを考えると、「まだ時間もあったので、しっかり上げていこうと思っていた」と焦りはなかった。しかし、調子を上げてきた現在は「焦りがあるし、危機感しかない」ようだ。それは、なぜかと言うと、「本当かどうかは分からないけど、FWでオーバーエイジを呼ぶという報道を見たし、この代表のシステム(3-4-2-1がベース)上、FWの枠はかなり少ないものになってくる」からだ。

 これからの1年間は、今夏ポルトガルに新天地を求めたスピードスターのFW前田大然や法政大から鹿島に“前倒し”で加入して結果を残すFW上田綺世らと限られた枠を争うことになる。「誰が点を一番取るかというところだと思うので、この争いはすごく楽しみ」と語ったストライカーは、「俺も大然も綺世もタイプが全員違う。俺の色をしっかりと出していけば、間違いなく一歩抜けられると思うし、点を取るというところだけは絶対に負けられない。この1年で『FWは俺で大丈夫』というところをしっかり見せないといけない」と闘志を燃やした。

 翌4日にセラヤFCとの練習試合、6日にU-22メキシコ代表、9日にU-22アメリカ代表との親善試合を行う北中米遠征で「得点しか考えていない」という“結果”を残すことができるだろうか。

(取材・文 折戸岳彦)