エルサルバドル戦でA代表初ゴールをゲット。さらに2点目も奪い、勝利に貢献した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 インターナショナルブレークを利用して実家のある福岡に帰省しようと考えていた6月時とは違い、今回は「(招集が)あるかなと思っていた」という。その予感通り、わずか4人しか選出されなかった国内組のひとりとして、FW永井謙佑(FC東京)は22年カタール・ワールドカップ・アジア2次予選ミャンマー戦に臨むメンバーに組み込まれた。
 

「代表に呼ばれたのは大きい。FWで呼ばれて代表に入った自信。それが(チームに)帰ってきてから見られるようになった。徐々に考え方がストライカーのようになってきた」
 
 心の機微を感じ取ったのは、FC東京の長谷川健太監督だ。今季リーグ8得点。うち5得点が、追加招集で4年ぶりの日の丸舞台となった6月の親善試合トリニダード・トバゴ、エルサルバドル戦後に挙げたものだった。今さら説明不要な圧倒的なスピードに加え、今まで以上のゴールへの執着心が加味された。
 
 言葉の端々から滲み出るのは、最前線でプレーする者の自覚だ。9月3日。永井は「1トップに入るならばゴールを取らないといけない。自分の特徴をシッカリと出して、チームを勝たせたい」と言い切った。エルサルバドル戦では日本代表としての「令和1号」、また自身A代表初得点をマーク。大迫勇也(ブレーメン)への“依存症”が叫ばれる森保ジャパンにおいて、貴重なオプションになり得る可能性を示した。何よりもチームを勝利に導いたことは大きなマインドの転機になった。
 
 ストライカーとしての脅威は、何も得点力だけがクローズアップされるものではない。8月30日の名古屋戦。左サイドの敵陣中央からのスルーパスに反応し、ペナルティエリア左でタメを作ってから中央に駆け込んできた郄萩洋次郎にパスを供給して得点を演出した。さらに55分にも相手DFと競り合いながらロングボールを収めて決定的なクロス。自身は無得点に終わったとはいえ、チャンスメーカーとしての存在感を発揮した。
 
「自分の良さを出せるようにプレーしたい。多少アバウトなボールでも自分は追いつける。丁寧なパスでなくても良いんで。そこでタメを作って、チームに推進力を出していきたい」
 元々、味方を生かすプレーには定評があったが、ここ最近は相手のわずかなスキを見逃さない抜け目なさにも磨きが掛かっている。そうして相手守備ラインを深い位置まで下げ、永井自身への警戒が強まることで、堂安律(PSV)や中島翔哉(ポルト)、久保建英(マジョルカ)ら得点力のある2列目の輝きは増すはずだ。
 
「国内組、海外組といっても仲間ですからね。まずはチームが勝てることを第一に考えたい。本番に向けて良い集中でやれている。良い雰囲気です。(森保監督も)みんなで良いモノを作り上げていこうと言っていた」
 
 Jリーグ所属であろうがなかろうが、関係ない。どっしりと構えて安定感を生み出す大迫とは違い、走り回ることでチームに流れを呼び込む。自身初のワールドカップ・アジア予選。やるべき仕事はハッキリしている。
 
取材・文●飯間 健