ドミニカ人マネージャーが横領!? 非を認めない犯人との5年にわたる裁判を体験して 【中南米での裁判記録】

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カリブ海に浮かぶ小国・ドミニカ共和国に住み、中南米の新興国を舞台に貿易事業を展開する風間真治さん。今回は、風間さん自身の裁判体験。信頼していたマネージャーに横領され、和解協議から勝訴を勝ち取るまでにかかった5年間の戦いのレポートです。

海外ビジネスに裁判はつきもの

 日本で「裁判員制度」がスタートしてようやく10年が経ちましたが、一般市民にとってはまだまだ、裁判は身近なものとは言えないのが現状でしょうか。裁判沙汰などと聞くと、「何か自分の人生にとんでもないことが起きた」と、構えてしまうことが多いかもしれません。

 その点、海外では弁護士の数も多く、日本に比べると裁判は身近です。特に現地でビジネスをしている人たちにとっては、その国の司法制度を理解しているだけでなく、それを「ビジネスの武器」として使いこなすことはとてもとても大事です。法律をビジネスの武器として使っていくのは、その国に深く入り込んでいないと不可能なので、最も難しいポイントでもあると思います。

 例えば、ビジネス上のトラブルでなにか差し押えをする場合、必要な経過措置や書類を、ビジネスの「最初の時点から」用意周到に準備をしておかないといけません。そして、それを滞りなく進めるためには、いくつものその国独自の細かいルールを理解していないといけません。
 
 相手側がそれらのルールに詳しければ、法の網をかいくぐり、何も知らない異邦人を騙すことなど容易にできてしまいます。実際私も15年近く中南米でビジネスをしていて、現地でかなり長いビジネス経験を持つ日系企業でも、こういう人たちに騙されて多額の資金を失うというケースを何度も見てきました。

 日系企業の場合、駐在員が存在していても、帰国などで数年のサイクルで担当者が替わるということもあり、このあたりのノウハウを「正確に」蓄積している企業というのは、驚くほど少ないというのが実感です。

 ビジネスはやはり「戦い」の要素が多分にあり、その際に一番こわいのが無知であること。その市場において様々な知識を有していることは、ビジネスを守るためにとても重要なことです。

 特に中南米は日本から見ると地球の真反対に位置し、何かあった際にすぐに駆けつけるというわけにはいきません。文化も慣習もかなり違います。そういう事情もあってか、1年に数回程度、私の元には自分自身が直接関わっているもの以外でも、日本や米国、欧州から、裁判や差し押さえに関する相談があります。協力できるものはお手伝いさせていただいたり、必要なアドバイスをするようになったのも、あまりにもそういうケースが多いと聞くからです。

 ただ上記の話と矛盾するかもしれませんが、私自身は正直、裁判は好きではありません。法的な解決法は裁判だけではありませんし、裁判はあくまでも本当の本当の最終手段です。優秀なビジネスマンは本来、最終手段である裁判のステップまでにいかないように、リードしていくのが大事だと思っています。
 
 ある程度の金額を自分が泣き寝入りしなくてはいけない状況でも、それで「仕方ない」と思い、損切りできるのであれば、損を負ってでも極力裁判は避けたいというのが自分のスタンスです。問題が起きた際に、ある程度の所で相手側と「落とし所」を見つけて、できるだけ最小の傷口ですませるのも、国際交渉の技術といえると思います。

 その理由はハッキリしていて、中南米の裁判のシステムには様々な問題があり、とにかく時間もお金もかかるからです。特に悪意あるドミニカ共和国人を相手にした場合、日本人の常識ではとても推し量れない、一癖どころではすまない、とても性質の悪い人たちも多いのです。
 
 私も実際、支払いの回収を巡ってドミニカ人とトラブルになり、ドミニカ共和国でも最大のスラム街の奥地に軟禁されたことがあります。当時の私の会社の顧問弁護士が複数の屈強なドミニカ人ボディーガードを引き連れて、私を解放するよう交渉をしに来てくれましたが、その間、私はネズミが這い回るスラム街の暗い一室で、ひたすら助けを待ちました。
 
 話し合いの末、私が交渉の前金で受け取っていた50万円を放出するのと引き換えに、解放をしてもらいました。命に勝るものはないという所でしょうか。

 そんな数々の修羅場を経験してきた中でも、私が今まで最も長期で苦戦した裁判についてまとめてみたいと思います。

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