南アフリカ戦で2本塁打8打点と活躍した侍U-18代表の創志学園・西純矢【写真:荒川祐史】

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高校通算25本塁打男は仲井ヘッドコーチ&島田分析担当コーチから指導を受けて忠実に実行

■日本 19-0 南アフリカ(31日・機張)

 韓国・機張(きじゃん)で行われている「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(全試合テレビ朝日系列・BS朝日・AbemaTVで放送)は31日、侍ジャパン高校代表は南アフリカに19-0と圧勝した。「7番・DH」で起用された西純矢(創志学園)の2本塁打を含む3安打8打点の活躍。6回コールド勝ちした。投手としては最速154キロを投げるドラフト1位候補だが、打っても高校通算25本塁打と能力が高い。しかし、代表に合流してからは、その打撃は影を潜めていた。

 3回に犠飛。4回2死一、三塁には真ん中の直球を完璧に捉えた。打球は左翼席へ飛び込むチーム初本塁打となる3ラン。さらには5回1死満塁で迎えた第4打席でも左前へ適時打を放ち、6回の第5打席では「狙っていました」とニヤリ。再び左翼スタンドへ2ランを突き刺した。この日、3安打2本塁打8打点の大暴れだった。

「出来すぎというくらい、いい打撃でした。低いライナーをしっかりとミートして打とうと思いました。チームメートから『やりすぎやろ?』と言われました」

 昨年の秋の地区大会で記録して以来の1試合2発。西は気持ち良さそうに汗をぬぐった。

 駒大と行った練習試合2戦では投手だけでなく、打席にも立ったがノーヒット。タイミングがうまくとれず、内野ゴロが多かった。スイングも大きかったと反省し、1日でも早く木製バットに順応しようと努めた。

部屋は奥川恭伸と同じ リラックスの時間は佐々木らと野球談議

 きっかけは2人のコーチからの助言だった。仲井宗基ヘッドコーチ(八戸学院光星監督)と島田達二分析担当コーチに指導を受けた。「へその前で押し込むこと」「ボールを迎えるのでなく呼び込むこと」の2点を教わり、忠実に守った。韓国に入ってからは、自分でも考えてバットを振った。この日の試合前の打撃練習では快音を連発。といっても、この日の本塁打のように大きな当たりではなく、二塁手の頭を超えるような低いライナーの打球が何度も飛んでいた。「小さくというか、ライト方向を意識して振っていました」。ヒットの“延長”が本塁打となった。2つの教えを守り、もう1つ、自分の“エッセンス”を加え、猛打が生まれた。大振りしなくても、打球を捉えられる術を身につけた。この3つのポイントが打撃復調へ導いた。

 グラウンドを離れれば、リラックスできる時間がある。宿泊ホテル同じ部屋は奥川恭伸投手と同じ。韓国入りした初日は佐々木朗希投手と飯塚脩人投手が部屋に来たという。「僕は一人で寝ていました」と笑っていたが、同部屋の奥川とは、フォームや意識していることなど話をしている。時計を見ると、午後11時30分、12時…とあっという間に時間は過ぎてしまった。

 そんな奥川はまだマウンドに立てていない。「甲子園に出ている時から僕は一人のファンとして(奥川を)見ていたので、早く戻ってきてほしいです」。2人で一緒に出場した試合について、同部屋で語り合える日を西は楽しみにしている。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)