EL本選出場をかけた大一番で、今季公式戦初となるアシストを記録した鎌田。フランクフルトの前線を牽引した。 (C) Getty Images

写真拡大

 ヨーロッパリーグ(EL)プレーオフ第2レグで、ストラスブールを撃沈したフランクフルト(3-0)。そのチームで躍動した鎌田大地が、フランス人に強烈なインパクトを与え、この一戦で評価が急上昇している。

 ホームでの第1レグを1-0で勝利していたストラスブールは、引き分け以上でELの本選出場が決まる状況だった。フランスでこの試合を中継したのは『RMC Sport1』。ゲスト解説を務めたのは、1998年のワールドカップで戴冠を果たした英雄のひとりである元フランス代表DFのフランク・ルブフだ。

 試合は荒れた調子で幕を開け、ルブフはピッチに物を投げつけたフランクフルト・サポーターの行動や、スタジアムの雰囲気に呑まれて完全に動揺してしまった審判の無能さに激怒し、「スキャンダラスだ! スキャンダラスだ!」と絶叫した。

 だが、先発出場した鎌田大地については「何という選手! 何という選手!」と繰り返し、「カマダ・ダイチは素晴らしい」、「ベルギー・リーグでプレーしていた、このジャポネ(日本人)は凄い選手だ!」と絶賛していた。

 試合後に行なわれたフランス最大スポーツ専門テレビ局『LA CHAINE L’EQUIPE』の人気討論番組『L’EQUIPE DU SOIR』では、「この試合は強盗だ!」(ディディエ・ルスタン氏)、「フットボールの試合じゃなかった」(視聴者)と、選手のパフォーマンスより、レッドカード2枚、イエローカードも5枚が飛び交う大荒れの試合展開が話題になってしまったが、66分にダ・コスタのゴールを演出した鎌田のアシストシーンは、何度も映像で流された。

 そして、試合から一夜明けた30日の全国紙『L’EQUIPE』は、鎌田に、そうそうお目にかかれない「8点」の高採点をつけた。よかった選手とよくなかった選手を3人ずつ挙げる寸評欄でも、1点目を決めた殊勲者のフィリップ・コスティッチとともに鎌田を「tops」に登場させている。

 寸評は「日本人MFは驚異的な試合を実現した。フリーキックをゲットして2ゴール目を導いた(60分)のに次いで、マイナスのパスで(ダニー・)ダ・コスタのゴールもアシスト(66分)。決定的な仕事をしただけでなく、チームのプレーを方向づけ、自らゴールを決める可能性もあった(19分と47分)」と、手放しに称賛した。

 L’EQUIPEは記事本文内でも鎌田に言及。「昨日のコメルツバンク・アレーナでは、フットボールが名誉を与えられたとは言えなかった」といった試合に対する批判が続く文脈のなかで、「素晴らしく魅力的だったコスティッチとカマダの個のパフォーマンスも、残念ながらきわめて敵対的な(スタジアムの)雰囲気にかき消されてしまった」と紹介しており、次いで鎌田のアシストシーンを描き出した。

 フランス・メディアが他国でプレーする日本人選手を取り上げることは皆無に等しい。そんななかで大きく取り上げられた鎌田は、一気に知名度がアップした。今後の活躍次第では、リーグ・アンの強豪クラブが興味を持つ存在になるかも、しれない。

文●結城麻里
Text by Marie YUUKI