すべてが農業優先。どんなに近所迷惑な行動でも、それが農家なら許されてしまう――。

今回紹介するのは、そんな信じがたいローカルルールに直面したXさん(山梨県・40代)のご近所トラブルだ。

Xさん宅の隣の畑で突如取り付けられた「爆音機」。鳥獣被害を防ぐために、定期的に大音量を発する機械だ。そのせいで、日夜騒音の被害に悩まされるようになったXさん。だが、畑の持ち主に苦情を伝えようとすると、周囲の住民はなぜか反対してきて...。

家の隣の畑から爆音が...(画像はイメージ)

農家だったら何でも許されるのか

果樹栽培が盛んな田舎に住んでいます。市ではありますが家の敷地は300坪。近所も昔からの家はだいたいこんな感じで、ぶどう畑とスモモ、桃の畑の間にアパートもちらほらと建っています。

数年前のことですが、私の家の隣のぶどう畑に「爆音機」が設置され、その音に悩まされました。その日は土曜日で、「爆音機」の設定はなんと50秒に一度鳴るようにされていました。夜の7時頃まで「爆音機」は鳴り続け、もちろん次の日の日曜日にも同じ設定で朝の7時過ぎから鳴り始めました。

果樹地帯でない方は「爆音機」のことを知らないと思います。これは鳥獣を大砲のような音で追い払うもので、大きさは少し大きめのストーブくらいです。音の設定は何分に一回とか、何秒に一回といったように設定できるようです。

私の記憶でも「爆音機」は小学校3年生くらいまでは近所の畑にも多く設置されていましたが、かなり久しぶりにこのものすごい音を聞いて衝撃を受けました。

私の家はぶどう畑の真隣なので、ドーンという音がダイレクトに聞こえます。しかし、少しこのぶどう畑から離れている家の方がドーンという音が反響して、ダイレクトに聞こえる私の家よりもつらいと近所が口々に言っていました。

私の住んでいる地域では「爆音機」について農協なども使用しないよう通達がだいぶ前からあったと思います。それにも関わらず、このぶどう畑の持ち主はわざわざ購入して設置したようです。

しかも、この持ち主は「爆音機」を設置して、ぶどう畑の近所に住む我々を悩ませましたが、自分たちはかなり離れた場所に住んでいるので、平気だったと思います。

私は市役所に匿名で通報しましたが、この通報に私の家族は、

「果樹栽培で生計を立てているから、やめてとは言えない」

と反対。他の農家も「農家仲間だから注意は出来ない」「誰か市役所に訴えて」とだれも自分から動こうとはしませんでした。

結局、非農家、アパート住民からも沢山のクレームが市役所に入ったようで、「爆音機」はそれから10日ほどで鳴らなくなりました。

その次の年から「爆音機」はなくなりましたが、今度はぶどう畑にラジオを吊るし、早朝から夜の10時まで目いっぱいのボリュームでかけていました。畑に人がいない時にもかけていたから、やはり「爆音機」の代わりだったのだと思います。

このラジオに悩まされたのは隣接する私の家だけで、子供の夏休みの受験勉強に支障を来すので、ぶどう畑の持ち主に電話でやめてもらえるようお願いしました。

丁寧に言葉を選んで話したつもりでしたが、家族が地域の会合に出た時に、

「ウチは農家で生計を立てている、なんだあの電話は!」

と言われたそうです。

こんなことを言われてもなお私の家族は、

「農家は畑で生計を立てているから、非農家の私の家の方が色々我慢するのは仕方ない」

と言います。

しかし、納得ができません。このぶどう畑の持ち主は以前、「雑草を放置している」と言いがかりをつけて私の家の竹藪に除草剤を勝手にまいていたこともありました。

いったいどこまで非農家は我慢すればいいというのでしょうか...。

あなたの「ご近所トラブル」投稿、募集します

Jタウンネットでは、あなたや周囲の人が遭遇した「ご近所トラブル」体験談を募集しています。メール(toko@j-town.net)もしくは公式ツイッターのダイレクトメッセージで、具体的なエピソード(500文字〜)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※なお本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)