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いよいよ10%への増税が迫ってきた。「最新の消費税増税後の検討意向の理解度」をテーマに、不動産情報サイト事業者連絡協議会(以下、RSC)が一般消費者向けにアンケートを行った。その結果、消費税の仕組みや支援策への認知度が、意外に低いことが分かったというが……。【今週の住活トピック】
「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果を発表/不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)

意外と知らない!消費税がかかるのは、建物価格のみ?

不動産情報を探すときには、多くの人が不動産のポータルサイトを利用する。その利用者のうち、住宅購入を検討している男女566人を対象にアンケートを取っているので、多くの情報を集めている人たちだと思われる。

ところが、「10月に消費税が引き上げられる」ことについて 94.7%が理解しているものの、「消費税率の適用タイミングは契約時ではなく引き渡し時である」ことの理解度は61.2%にまで下がる。「消費税がかかるのは建物分のみで土地分はそもそも非課税である」ことの理解度は 47.5%と半数に満たず、38.3%が「知らない」と回答した。

消費税率2%分の上昇で、実際にいくら負担額が増えるのかはよく分かっていないというのが現状か。

ちなみに、「例外として、注文住宅等は2019年の3月31日までに契約すれば10月以降の引き渡しでも消費税は8%のままである」というのは、「経過措置」と呼ばれ、住宅の新築のように契約から引き渡しまで時間がかかるようなケースでは、半年前までに契約すればその時点の税率が適用される例外措置がある。

消費税に関する理解度について(出典:RSC「不動産情報サイト利用者意識アンケート」より転載)

意外と知らない!住宅購入時の支援策あれこれ

次に、増税後の支援策に関する理解度を聞くと、支援策の代表ともいえる「住宅ローン控除の減税期間延長や還付について」は理解度43.4%・認知度65.8%であるのに対し、「次世代住宅ポイント制度」は理解度 25.3%・認知度 52.2%に留まるなど、差が見られた。

消費税に関する増税後の支援策に関する理解度(出典:RSC「不動産情報サイト利用者意識アンケート」より転載)

「すまい給付金」は住宅ローン控除を補完するもので、所得税の納税額が少ない人や現金で支払う人など、対象を限定して支援するものだ。

また、「次世代住宅ポイント」はかつての「住宅エコポイント」を拡充したもので、省エネ性のほかに耐震性などの一定の性能を備えたり、子育て世帯を支援するなど住宅の新築やリフォームにポイントが与えられる。2018年の年末に創設が決まったものなので、まだ浸透していないということか。

こうした制度を複数活用することで、「増税後に購入するほうが実質的にトクをするケースもある」ということになるが、その理解度は34.4%・認知度59.7%だった。

増税後の支援策などの理解が深まると、購入タイミングは変わる!?

ところで、10 月に消費税が 10%に引き上げられることが住まいの購入計画に「影響を与える」を聞いたところ、「影響を与える」と答えたのは 47.7%、「影響を与えない」は 28.1%だった。

購入計画に影響を与えると答えた人に、さらに「Q2.住まいの購入計画について、あなたの考え方に最も近いものは?」と聞いたところ、「増税前に購入したい」は 36.7%で、「増税後の支援策と比較して検討したい」が最多の 50.4%だった。「消費税が10%に上がった後に購入したい」はわずか7.4%だった。

そこで、Q2の質問で「増税前に購入したい」「増税後の支援策と比較して購入したい」と答えた人を対象に、「Q4.増税後に手厚い購入支援策が用意されていることを知ったうえで、購入タイミングをどう考えるか?」と改めて聞いた。すると、Q4=支援策を知った後の購入計画を Q2=支援策を知る前の購入計画と比較すると、「増税前に購入」の割合は減少する一方で、「増税後に購入」は 4.1 ポイント増加する結果となった。

支援策認知前と認知後の購入計画の比較(出典:RSC「不動産情報サイト利用者意識アンケート」より転載)

増税後の支援策などの理解が深まると「増税後に購入」が増えるなど、購入タイミングに影響を与えることがあるようなのだ。

この時期、マスメディアでは、消費税増税前に買った方が良いものは何か?などをよく紹介している。日用品を増税前に買いだめする人は多いだろうが、増税後に還元セールなどでディスカウントするのも日用品が多く、焦って買う必要はないのだそうだ。

住宅については、基本的に増税分は支援策で相殺する考え方なので、多くの人は増税の前後で負担額に大きな違いはない。もちろん、現金で購入したり、支援策の対象から外れる住宅を購入したりする場合は、増税前が有利という場合もあるので、正確な情報をきちんと理解しておく必要はある。

とはいえ、住宅は一般的な買い物と違って、まったく同じものが買えるわけではない。出会った住宅の立地やプランが気に入ったのであれば、それが増税前であれ後であれ、購入するタイミングに来たといってもよいだろう。


(山本 久美子)