Octane Japan,pebble beach

写真拡大 (全4枚)

世界最高峰のコンクールと呼ばれる、ぺブルビーチ・コンクール・デレガンスが8月18日に開催された。2019年度はベントレー100周年、ザガート100周年、ブガッティ110周年、ホットロッドを主なテーマとして開催された。
 
展示のみのクラスも含めると、全部で29のクラスが設けられ、この日のためにメンテナンスをしてきたともいえよう200台以上の車が世界中から集まった。 クラスは、アメリカンアンティークや、ヨーロピアンクラシック、戦前モデルのロールス・ロイス、ベントレー3リッターから戦後モデルまでの各クラス、フェラーリGT、ランボルギーニ・ミウラ、ザガート戦前/戦後モデル、ホットロッドなどが設けられた。審査員には、ランボルギーニのテストドライバーであるバレンティノ・バルボーニや、カーデザイン界の伝説 ゴードン・マレー、ピンクフロイドのニック・メイソンなども名を連ねた。
 
コンクールの早朝、5時30分頃から展示会場に入るのだが、その時にエンジンストップなどトラブルがあればそれも減点となるし、コンクール前に行われていたツーリングでの実働状況も採点対象となる。”動く車”としての性能を証明するためだ。

当日になると、さわやかな風が吹くペブルビーチ・ゴルフリンクスの芝生に並べられた車を、審査員たちがそれぞれ担当しているクラスの車を一台ずつ周り審査をしていく。ライトを点けて、エンジンをかけて、ホーンを鳴らして、などとオーナーへ指示を出しながら行われる。審査員は、ビスの向きが揃っているかなど各部の整合性、車の履歴、エンジンの状態、排気煙の色やにおい、保存状態の程度、優雅さなども含め点数をつけていくのだが、その様子を見ているだけでもおもしろい。



 
その審査風景を通して、オーナーそれぞれの性格や個性を垣間見ることができるためだ。 真剣な顔で、時には険しい表情を見せながら審査を受けている人もいれば、とても気楽な雰囲気で楽しそうにしながら審査を受けている人もいる。  もしかしたら、これはどれほど期間をかけて車を仕上げてきたのか、どれほど真剣な思いでコンクールに臨んでいるのか、ということにもよるのかもしれないが、どちらにしろ車を愛している人間であるからその場にいるということは変わらないはずだ。 
 
こうしてジャッヂが続き、それぞれのクラスでの優勝車、ベスト・オブ・ショウの1台が決定される。アワード発表の前には、表彰台のほうへエンジンをかけた状態の参加車が続々と集まる。V12気筒のサウンドがあちこちで響き、ガソリンの香りとけむりが海岸沿いに充満する。車好きたちにとってはたまらない空間が、そこにはあるのだ。



 
そして、クラスごとの結果発表が終わると、しばしの待機時間となる。まだかまだかと会場がざわついていると、ベスト・オブ・ショウにノミネートされた車が動き出す。会場には緊張感が戻り、ドラムロールがはじまる。そして、発表された2019年度のベスト・オブ・ショウは1931年 ベントレー 8リッター ガーニー・ ナッツィン・スポーツツアラーであった。ペニンシュラホテルグループトップのマイケル・カドゥーリー卿が所有する一台だ。

毎年、ベストに選ばれるのはもちろん、一台のみであるが、訪れた人は全員がそれぞれのベストを持っていることであろう。ちなみに、実際に2019年度訪れた筆者のベストは1955年 フェラーリ250 ユーロパ GT ピニン・ファリーナ クーペ。クロムのサークルにおさめられたフェラーリエンブレムが大きな特徴だ。ブライトオレンジの美しいインテリアは、コノリーレザーを用いたエルメスのテーラーメイド。まさしく、エレガントというに相応しい雰囲気を漂わせていた。



オーナーそれぞれの車への愛情と、時代を越えて人々を魅了し続ける車に敬意を感じる。