「異能」の人

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 本項で取り上げる女性政治家は、「下降気流」に流されている真っ最中と言えよう。稲田朋美元防衛相(60)。出世街道を驀進(ばくしん)していたのも今は昔。目下、その政治力の衰えは隠せないが、一方で「別の能力」に磨きをかけていたようだ。

 行政改革担当相、防衛相……。稲田氏は当選5回ながら要職を歴任し、女性初の総理候補と持て囃(はや)されたこともあった。だが、防衛相時代に国会で野党から追及されて泣いてしまうなどの醜態を晒し、結局1年足らずで辞任に追い込まれ、もはや彼女は入閣候補とも目されていない。さぞ意気消沈しているに違いないと思っていたら、意外なところで「意欲」を発揮していて、ある自民党関係者曰く、

「7月の所得公開で、稲田さんが地元の福井県で新たに土地と建物を購入していたことが分かったんですが、その物件というのが、福井駅東口ターミナルから300メートルの超駅近で角地にある3階建てビルなんです」

「異能」の人

 地元の不動産業者が後を引き取る。

「私もその物件を狙っていたんですが、昨年6月、稲田さんに先に買われてしまいました。今、福井の駅前は再開発の真っただ中にあるため、駅近物件は格好の投機対象なんです」

北陸新幹線の延伸

 鉄道ジャーナリストが補足する。

「2022年度末に、北陸新幹線が福井駅、敦賀駅に延伸開業します。福井県には、飛行機の定期便が就航していません。そんな『飛行機なし県』の福井にとって、新幹線の延伸は悲願である上に、もともと福井駅は在来のJR線の他に私鉄など3路線が乗り入れている。新幹線開業で観光客が増えないはずがない」

 当然、ホテル建設ラッシュが起こり、土地の値段の高騰が見込まれるわけだが、

「稲田さんが買った土地は280平方メートルほど(約85坪)の広さで、その辺りの坪単価の相場は約43万円ですから、3700万円前後で購入したのではないでしょうか」(別の地元不動産業者)

 不動産コンサルタントの森島義博氏はこう評価する。

「そもそも駅近は稀少性があることに加え、角地は視認性が高く、看板などが目立つ。良い土地を買いましたね。新幹線の延伸が予定されていることを考えあわせると、今後、土地価格は1・2倍から1・3倍になる可能性があるでしょう」

 つまり、稲田氏は「上手な買い物」をしたのである。当の稲田事務所は、

「現在入居している建物が耐震基準を満たさず取り壊されるため、新事務所を探していたところ、福井駅に近い目立つ場所に良い物件があったので購入を決定した」

 と回答するのだが、彼女は東京でも、来年開業予定の高輪ゲートウェイ駅近くの物件を手に入れるなど、「不動産商才」を発揮してきた過去がある。

 政界で勝機に見放されても、商機は逃さない。

「週刊新潮」2019年8月15・22日号 掲載