▼運動・ストレッチ・マッサージ編
怠け者でも長続き! お手軽スクワットで下半身強化

■仲間と一緒で、継続率が約80%に

健康診断で医師から「健康のために日ごろから運動をしましょう」といわれても、その一歩が踏み出せなかったり、せっかく会員になったフィットネスクラブも長続きしないという人がたくさんいます。どうすれば運動を続けられるのでしょうか。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/g-stockstudio)

そのコツは「誰かと一緒に運動する」ことです。ウオーキングも、ジムでの筋トレも、1人だとドロップアウト率が高くなるため、パートナーや友人たちと一緒に運動をしましょう。誰かと一緒に運動することで、継続率は約80%に上がるといわれています。

「結果が出ない」ことも運動が続かない理由です。「1カ月も走ったけれど体重が落ちない」「筋トレを頑張ったのに筋肉がつかない」と悩んでいるうちにヤル気が失せます。ここで大事なのは、結果を出すのは独学では難しいことです。本やネットで得た情報は断片的ですし、その人に合っていないケースが多い。

パーソナルトレーナーのような運動の専門家は、その人の目的に沿ったプログラムを作成するので、効率的かつ効果が早く出ます。ダイエットをはじめ、目的によってもメニューが違うので、時間と労力の無駄を避けるように心がけてください。

具体的な運動のポイントですが、ダイエットの場合、筋肉量を増やして基礎代謝力を上げることが基本です。体の筋肉で一番大きいのは「大筋群」と呼ばれる下半身と胸と背中の筋肉。特に太ももなどの下半身には太い筋肉が集まり、体全体の60%以上の筋肉を占めるとされているので、そこを集中的に鍛えましょう。

下半身を鍛える筋トレの代表はスクワットですが、両足を少し広げた状態で腰を落とし、立ち上がる通常のスクワットは、日常動作が問題なくできる人にとって、負荷が小さくて効果があまりありません。筋肉は普段与えている刺激よりも強い刺激を与えなければ増えないからです。そこで片足ずつ鍛える「ワンレッグスクワット」がおすすめです。筋肉を鍛えるのは朝・昼・晩いつでもOKなので、会社の休憩時間なども利用するといいでしょう。

長時間のデスクワークやパソコン作業などで肩こりに悩まされている人も多いですね。肩こりの要因は2つあります。「筋力不足」と「血行不良」です。腕の重さは約2〜3キログラムあり、それを三角筋などの肩回りの筋肉で支えています。その筋肉量が減ると肩の負担が大きくなり、肩がこるのです。ですから根本的な改善には三角筋を鍛える必要があります。ペットボトルを使ったトレーニングで鍛えられるので、実践してみてください。

ダイエットに効果
【ワンレッグスクワット】
1 片足を後ろに大また1歩分下げて前傾姿勢に。
2 前足に体重をのせたまま、4秒かけて膝を伸ばして腰を上げる。4秒かけて1の姿勢に。20回×2セット。
肩こりに効果
【三角筋のトレーニング】
1 両手に1.5〜2リットルのペットボトルを持つ。膝は肩幅に開き、胸を張って背筋を伸ばす。
2 4秒かけて体の横方向にペットボトルを肩の高さまで上げる。4秒かけて1の姿勢に戻す。

肩こりのもう1つの要因である血行不良は、肩を動かさないことで筋肉が硬くなり起きます。したがってよく動かすことが大切です。肩甲骨の三角運動や円運動が効果的です。回数は個人差があるので、血行がよくなり肩周辺が温まって、こりがほぐれて気持ちよくなるまで動かすことがポイントです。

肩こりでマッサージに通っている人も多いと思います。血行不良の改善により一時的に楽になるのは確かですが、肩こり解消の根本は筋力アップや血行促進であることを忘れないでください。ただし人の手でマッサージしてもらうのは気持ちがよく、リラックスもでき、その意味で利用するのはいいと思います。

■下半身を鍛えて、ロコモを予防

また、肩こりと並んで多くの人が悩んでいるのが腰痛です。「腰椎椎間板ヘルニア」や、急に重いものを持ったりして起こる「筋膜性疼痛症候群」など、腰痛の原因がはっきりしているのは15%で、残りの85%は原因不明とされています。腰痛は運動不足や筋力の低下で引き起こされることもあるため、その場合はお尻のストレッチを行うことで血行をよくし、改善が期待できます。ウオーキングなどの軽い運動もおすすめです。

最新の研究では、原因が特定できない腰痛のなかに、心因性、つまりストレスによって引き起こされているものがあることが明らかになっています。腰痛にはストレッチも大切ですが、ストレスを減らすことにも注意を向けてください。

「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」という言葉をご存じでしょうか。通称「ロコモ」と呼ばれ、関節や骨、筋肉などの運動器が衰え、自分1人で日常生活を送るのが困難になる状態を指します。高齢者の寝たきりや要介護状態の主要因となるので、早期予防が大事になります。40〜50代の働き盛りの人にはピンとこないかもしれませんが、ロコモの人は予備軍まで含めると全国4700万人と推計されています。

自分がその予備軍かどうかをチェックする簡単な方法があります。イスに浅く腰掛け、両腕を胸の前で組み、反動を使わず片足で立ち上がって3秒キープします。もし立ち上がれなかったり、立ち上がってもすぐにグラついて両足がついたら、ロコモ予備軍の可能性があります。

それに当てはまった人は、下半身の筋肉を鍛えるトレーニングが必要です。通勤などでエスカレーターやエレベーターを使わず、階段を上るようにしましょう。先のワンレッグスクワットも効果的です。皆さん楽しみながら運動を行い、心身ともに健康でいましょう。

肩こりに効果
【肩甲骨の三角運動&円運動】
1 両腕を曲げたまま引き上げて、肘を斜めに開きながら下ろす。
2 肘を大きく前方に持ち上げ、真上まできたら肩甲骨を寄せ、肘を開きながら下ろす。肘で円を描くように。
腰痛対策
【お尻のストレッチ】
1 片足の足首を反対側の膝の上に。胸をくるぶしに近づけ、呼吸をとめずに20〜30秒キープ。
2 あぐらで片方の膝を立て、もう片方の足をまたぐ。その膝に反対の腕をかけ、胸にひきつけて上体をひねり、20〜30秒キープ。

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中野ジェームズ修一
スポーツモチベーションCLUB100最高技術責任者
数多くのアスリートから絶大な支持を得る「フィジカルトレーナー」の第一人者。『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』など著書多数。
 

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中野 ジェームズ修一スポーツモチベーションCLUB100最高技術責任者
数多くのアスリートから絶大な支持を得る「フィジカルトレーナー」の第一人者。『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』など著書多数。
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(スポーツモチベーションCLUB100最高技術責任者 中野 ジェームズ修一 構成=田之上 信 撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)