■修理を尻込みさせる要因

街中や電車では、スマートフォン(スマホ)の画面が割れたまま使っている方を見かけます。スマホを修理に出した場合、返却までは1週間程度の日数がかかりますし、データも消えてしまうことがほとんどです。この煩雑さが修理を尻込みさせる要因のひとつではないでしょうか。

多くの場合、保証サービスに入っていない場合は高額な修理代金がかかります。例えばiPhone7であれば、保証サービスのAppleCare+加入の場合は3400円で画面割れの修理ができますが、未加入では1万6800円が必要になります。

AppleCare+の価格は機種にもよりますが、iPhone7の場合は1万4800円で2年間の保証が受けられます。つまり、2年間で2回以上画面を割る場合は、保証に加入したほうがお得になりますが、画面を1度も割らなかった場合、この料金はムダになります。

「データを残し、端末も当日欲しい」という場合は、“iPhone修理工房”や“じゃんぱら”など、Apple非公式の修理店では多くの場合即日修理を行っています。

「自分のスマホを、非公式の怪しい業者の人に渡すのは怖い」というイメージもあるかもしれませんが、例えばiPhone修理工房の池袋本店では、ガラス張りのお店で店員さんが作業を行っており、我々が考え付く悪さはできない環境だといえます。ネットでの評判を確認しても、まず信頼してよさそうです。

気になる修理代金ですが、iPhone7の場合は8000〜1万円程度が相場で、公式の修理よりも安価です。これよりも安い業者も中には存在しますが「画面割れが重度のため、追加料金がかかります」という案内をされたり、別途で工賃を請求してくる業者もあるため、よく見極めたほうがよいでしょう。最近では「口コミを書くと割引」という業者もあるため、レビューを信用しすぎることも危険ですが……。否定的レビューの数や内容を見て判断することも重要になりそうです。

また、最後の手段として「自分で直す」という手も。

アマゾンでは修理用の液晶パネルが販売されており、iPhone7の場合、2500円前後で入手が可能です。ほとんどの商品には工具が付属しており、単体で修理が可能。iPhoneの場合は分解、取り付けの手順を「分解工房」やYouTubeなどで知ることができます。

■スマホが鉄屑になるリスクはつきまといます

私も画面が割れたiPhone7とパネルを購入し、修理に挑戦してみました。サイトを参考に、ミスのないよう慎重に作業を行いましたが、思ったよりも難易度は低く、2時間ほどで作業は終了。作業としてはガンダムのプラモデルのほうがはるかに難しいと感じました。ネジの大きさ、長さがそれぞれ異なるため、混在しないようキッチリ区別をつければ、それほど苦労はなさそうですが、修理に失敗すればスマホが鉄屑になるリスクはつきまといます。

また、非正規の業者や自前で修理を行った場合、メーカーの保証はなくなり、以後の修理は受け付けられなくなります。また、iPhone XやGalaxy S8以降の機種など、特殊な液晶や新機種の場合は非正規のパネルが存在しない、もしくは非常に高いことも多く、素直に公式に修理を依頼したほうが安く済むこともあります。

メリット・デメリットを見極め、自分にあった決断を下せるようにしましょう。

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山野 祐介(やまの・ゆうすけ)
行動するお金博士
マネー事情に詳しいライターとして本誌でもおなじみのFP。クレジットカードやポイントにも詳しい資金運用のプロフェッショナル。複数の雑誌でマネー連載を抱え、お得な情報の受発信を精力的にこなす。2020年は「LINE Pay」クレジットに注目している。
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(行動するお金博士 山野 祐介)