百日ぜきの報告数が1万110人に…

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「百日ぜき」の患者が全国で増えています。国立感染症研究所は8月13日、2019年の患者の累積報告数が1万110人に達したと発表しました。静岡県内では患者数が昨年の1.7倍に達するなど、地域によってはかなり流行しているようです。強いといわれる百日ぜきの感染力とは、どのようなものなのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

潜伏後、軽い咳や鼻汁、咳発作へ

Q.百日ぜきとは、どのような病気なのでしょうか。

市原さん「百日ぜき菌に感染することで起こる病気で、発作的な強い咳(せき)を特徴とします。潜伏期間は1〜2週間で、その後の約2週間は軽い咳や鼻汁、くしゃみなど風邪のような症状が出ます。さらに、その後の2〜6週間はけいれんするような連続する咳発作が続き、その後、次第に症状が改善していきます」

Q.定期的に流行する年があるのですか。子どもだけではなく、大人も感染しやすい病気なのでしょうか。

市原さん「これまで定期的に流行していましたが、2014年以降増加傾向にあります。百日ぜきに対する抗体は胎盤を通過しないため、新生児もかかる可能性があり、特に生後6カ月未満の乳児の場合、命に関わることがあります。現在は、乳児期に予防接種を受けさせることになっていますが、予防接種で得た抗体は時間の経過とともに効果が薄れてしまい、年齢を重ねてから百日ぜきに感染することもあるので効果は絶対ではありません。

大人が感染することもあり、2016年には、15歳以上の患者数が全体の25%を占めていたとの報告があります。また、一度かかると終生免疫を獲得するので2度目にかかることはないとされているものの、実際は2度かかる人もいるので注意が必要です」

Q.百日ぜきは、感染力が強いともいわれています。ある集団に1人の発症者がいたとすると、何人くらいに感染させる可能性があるのでしょうか。

市原さん「麻疹(はしか)と同じくらいの感染力があり、1人の感染者から12〜18人に感染させる可能性があります。はしかは百日ぜきと同じく12〜18人である一方、インフルエンザウイルスは1〜2人なので、百日ぜきの感染力が強いことが分かります」

Q.百日ぜきに感染した場合、周囲に感染させないためにできることは。マスクを着用すれば、周囲へ感染させる可能性を低減できるのでしょうか。

市原さん「百日ぜきの感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染と接触感染です。感染した本人がマスクをすることで、周囲へ感染させる可能性は減らせます。しかし、感染力が強い上、大人の場合は単なる風邪と思い込み、周囲に感染を広げてしまう可能性があるので注意が必要です」

Q.百日ぜきに感染した場合、学校保健安全法で「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで」の出席停止が定められています。大人が感染した場合、会社への出勤を停止した方がよいのでしょうか。

市原さん「会社の場合、学校保健安全法を一つの基準として参考にしてください。また、会社の嘱託(しょくたく)医や受診したときの医師の指示を参考に、会社の管理者に判断を委ねることになります。インフルエンザで出勤停止になる場合と対応は同じです」

Q.家族が百日ぜきに感染した場合、患者以外の家族はどのようにして感染を防ぐ対策をすべきですか。

市原さん「本人には必ずマスクをしてもらうこと、洗面所などのタオルを共用しないこと、こまめな手洗いを徹底することです」