ふつうに眠ったはずなのに、目覚めると強い疲労を感じる……そんな「朝バテ」に悩む人が増えているようです。

血管の名医として知られる池谷敏郎先生(池谷医院院長)によると、夏はこうした「朝バテ」が起こりやすい季節だそう。なぜ「朝バテ」になってしまうのか、その原因と対策をうかがいました。

「朝起きたとき」が一番疲れている?

一日のうちで、もっとも疲労を感じるのはいつだと思いますか? 「“疲れ”を感じる日常のシーン」について、ネオマーケティングが20歳以上の1000名を対象に調査(※1)したところ、もっとも回答数が多かったのは「朝起きたとき(43.2%)」でした。

一日の疲れがたまっていそうな「仕事から帰宅するとき(第2位・38.7%)」や「夜寝る前(第3位・38.1%)」よりも、睡眠をとったあとの朝に疲労を感じているという結果が出たのです。

「朝バテ」を防ぐ4つのポイント

血管や血液など、循環器系のエキスパートである池谷先生によると、この「朝バテ」の原因は睡眠不足にあるとのこと。特に夏は、暑さによる寝苦しさも相まって、一年の中でも特に睡眠時間が短いと言われる季節だそう。

「朝バテ」を防ぐためには、寝苦しさの原因を踏まえ、眠りやすい環境を整えることが大切だと池谷先生。これからの季節、とくに心がけたいポイントを4つ教えていただきました。

1.夜もエアコンを活用しよう

質のよい眠りを確保するためには、タイマー設定などを活用して冷房を上手に使いこなすこと。冷気を部屋全体に行き渡らせるため、扇風機を組み合わせるという選択肢もある。

2.パジャマは「ゆったり」したものを

睡眠中に体から出る熱と汗を上手に逃がすことが重要。衣類は吸汗・速乾性に優れた素材や、ゆったりして通気性がよいデザインを選ぶこと。

3.就寝前に水分補給

睡眠中の脱水状態を防ぐため、就寝前に冷たい水を1杯飲むとよい。ただし寝酒はNG。アルコールは脱水を促し、利尿作用によって体から水分を奪ってしまうので、就寝時間が迫ってきたらお酒は控えること。

4.「GABA(ギャバ)」でリラックス&安眠効果

リラックス&安眠効果がある「GABA」を含む食品を摂ること。GABAはアミノ酸の一種で、穀物や野菜、果実などに含まれる。副交感神経を優位にしてくれるため、安眠効果が期待できるほか、ストレスを和らげる働きもある。

夜にGABAを摂るとリラックスする理由

4つのポイントのうち「GABA」については、チョコレートやココアに含まれている栄養素として認識している人が多いかもしれません。GABAはチョコやココアの原料であるカカオのほか、発芽玄米やキムチ、納豆などにも含まれています。

GABAは消化管から体内に吸収されると、交感神経末端からでる血管収縮作用伝達物質のノルアドレナリンの分泌を抑制します。ノルアドレナリンは細動脈を収縮させる作用があるので、この分泌を抑制することによって交感神経の働きを抑え、リラックスを司る副交感神経を優位にしてくれるのだそう。

GABAを含む食品を摂ることで、心身をリラックスしやすい状態に整えることができるのです。

池谷先生のおすすめは「夜もやし」

GABAを含む食品のなかでも、池谷先生の一押しは“夜もやし”。しかも、豆がついている大豆もやしがおすすめだそう。

池谷敏郎先生 :

大豆を発芽させた大豆もやしはGABAをはじめとして、大豆イソフラボンや食物繊維、ミネラルなどさまざまな栄養素が含まれています。

寝る30分前にGABAを摂取して睡眠の質が高まったという研究があるので、夕飯に大豆もやしを食べるとよいでしょう。1パック(200g)程度食べることで、GABAの効果が働き、睡眠の質が高まることが期待できます。

大豆もやしに含まれる栄養素は、一般的な緑豆もやしの2〜3倍。女性にうれしいイソフラボンだけでなく、安眠&リラックス効果もあったとは驚きです。

軽くゆでるかレンジでチンしてマリネすれば、低カロリーで応用が利く作り置きのおかずにもなります。この夏は大豆もやしを上手に使って、「朝バテ」対策をしてみてはいかがでしょう。

※1 20以上の男女を対象に調査を実施。N=1,000/調査時期2019年1月15〜16日

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池谷敏郎(いけたに としろう)先生
医学博士。池谷医院院長。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。血圧と動脈硬化について研究。1997年、池谷医院理事長兼医院長に就任。専門は内科・循環器科。現在も臨床現場に立つ。 血管、血液、心臓などの循環器系のエキスパートとして、わかりやすく歯切れの良い医学解説と真摯な人柄で数々のテレビや、雑誌、新聞、講演など多方面で活躍中。著書も多数。

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