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 「結果にコミットする」で爆発的人気を集めるパーソナルトレーニングジムRIZAP。売上高は7年連続で過去最高を更新する好調ぶりだが、前期の決算では約193億円の赤字に転落。原因は、ここ数年で急増したグループ会社の存在だ。株主たちからは経営に厳しい目を向けられるが、瀬戸健社長は「1年後、必ず黒字化する」と公言する。波乱万丈の人生を歩んできたという瀬戸社長に「これまでとこれから」を聞いた。

 
「RIZAP」名前の由来は

―――RIZAPと名付けた訳は?
 RIZAP、は"RISE UP"からの造語です。いま、どんなにどん底にいても自分の力で立ち上がる。自分の可能性を信じている限り必ず物語は続いていくと、必ず成長できるんだと。そういう思いを込めた"RISEとUP"です。

―――"RISEとUP"には、瀬戸さん自身の経験もあって?
 はい。どん底はこれまでの人生の中でいっぱい経験しています。だけど、自分自身が思いを持って立ち上がる限りは、ストーリーは続いていくと思っています。

「トレーニング続けられないのは、私たちの責任」

―――いまは、たくさんジムがありますが、その中でRIZAPの強みは?
 私たちには顧客13万人分のデータがあります。そして、どういうトレーナーが結果を出していて、どういうトレーナーが結果を出せないのか、どういうお客様のどういう行動が結果に結びついたのか、あるいは結果が出なかったのか、ずっと分析しています。これは大きな強みです。あとは如何にしてお客様がジムに来ていない時間に寄り添うか、ということでしょうか。毎日、全ての食事をお客様から写真で送っていただく、そしてそれをチェックして毎回、トレーナーからお客様にフィードバックします。途中でくじけそうになっても常にトレーナーがメールや電話で連絡を取り、2か月経つ頃にはそれが習慣になる。ジムに来ていない時間の寄り添い方が、もう一つの強みでしょうね。

―――トレーニングを続けさせられることが、強みだと?
 私たちの考え方は「私たちがトレーニングを続けさせなくてはならない」ということです。だから、お客様が続けられなかったら私たちの責任です。ですので、その場合は全額返金をうたっている。お客様が面倒くさくなったとか、つらくなったとか、おやめになった場合は私たちの責任だと捉える。すると、トレーナーの向き合い方が変わってきます。さらに、自分たちの責任だと思うことによって、これまでのかかわりあいで反省すべきところがあったのではないか、と色々な形で顧みることが増えました。

高校時代は落ちこぼれ、その後1日20時間の受験勉強

―――小さい頃は、どんな子どもでした?
 小さいころは本当に悪ガキでした。友達からもバカにされて、実家がパン屋を営んでいたので、よく"脳みそがメロンパンできている"とかのパンネタでいじらました。ずっと、バカにされて...高校時代も落ちこぼれでしたからね。成績も赤点が多くて、クラスに45人いましたが45番...、つまり最下位ですね。高校卒業後は2年ほどフリーターをしていましたが、一念発起して大学を受験。そうなるともう、自分との戦いですね。1日20時間くらい勉強して必死でやって、おかげさまで偏差値は32だったのが60を超えて明治大学商学部に合格しました。

"食事代わりにおからクッキー"が大ヒット

―――24歳で「健康コーポレーション」を立ち上げましたね。
 2003年、結婚と同時に妻と2人で起業しました。実家の近くに豆腐屋さんがあって、そこで余ったおからをもらってクッキーの製造販売をしました。それを買ったお客様が、クッキーを食べたらお腹がいっぱいになると。食事の代わりにしているという方がいて、これはダイエットとしていいかもとひらめきました。おからのクッキーにビタミンやミネラルを配合して、食事の代わりにお召し上がりいただくと飛ぶように売れました。

「売り上げ100億円」目標達成も"倒産予備軍"に

―――その頃の売り上げの目標は?
 その頃の手帳には、創業して3年目に「今期24億円、来期は100億円」と目標設定を書いていて...、ぶっ飛んでいる、と思うでしょうが、その通りになりました。2006年には株式を上場したんですが、そうするとすぐに競合他社が現れまして、100億円あった売り上げが2年後には、なんと10億円になってしまった。ジェットコースターもいいところですよ。売り上げが激減し、手元のお金もどんどんなくなって...。気が付けば"倒産予備軍ランキング1位"になっていました。

"三日坊主市場"に目を付け「RIZAP」スタート

―――美顔器のネット販売でV字回復、トレーニング事業に進出します
 おからクッキーを食べて痩せた方々は本当に大勢いて、「よかった、ありがとう」と沢山のお手紙を頂きました。たけど、その反面「どうしても一人では続けられなかった」という声が多かった。それを聞いて、わかっているけど続かない"三日坊主市場"があるんだと。三日坊主で苦しんでいる人たちを助けるサービスがあったらいいなと考え、2012年にRIZAPをスタートさせました。

―――金額設定を一般的なジムより相当高くしたのは?
 最初、トレーナーを5名採用しました。トレーナーと話していて、5人中4人が「お客様のことを夢で見た」というんです。「どんな夢?」と聞くと「一生懸命に信じてやったけど、結果が出なかった」とお客様に叱られたと。それを聞いて、これはいけるなと思いました。こんなに必死に緊張感を持って臨んでいる、これだけ真剣になって考えてお客様のことを思ってやっているなら必ず結果は出ると。緊張感を持ってやっているからこそ、正しい手段を必死に考えるわけですよ。どうやったら結果が出るのだろうと。もちろん、結果も重要だけど、結局、お客様と一緒にもがいたり苦しんだりして乗り越えたというプロセスが一番大切な宝物だったって気づいたんです。

―――プロセスが宝物? それはご自身の経験から?
 私自身、どん底の成績から大学の合格を勝ち取った。ちゃんと自分が"変わることができる"実体験がある。だから、お客様もきっと同じように変わることができる、そのサポートができる、というのは強く思いとしてありますね。

M&Aで次々、会社を買収「攻めすぎました」

―――M&Aで次々、会社を買収した結果...
 攻めすぎました。特に業績の厳しい会社にグループに入っていただいた。それは、人は変われるというのと同じように会社も変われると、いまでも信じているからです。社員の方だって絶対に変われると思っています。今は色々と言われていますが、絶対、復活できると信じています。悔しい思いをしている社員もたくさんいます。

―――どのあたりから攻めすぎた、と?
 うーん、2年前くらいからですかね。会社が倍増して、ライザップ以外の会社も一気に増えたので。本業のところに自分の目が届かなくなって、社内に目を向けるというよりは、グループに入った会社とか、グループに入ってもらう過程の中の対外的な話に時間が割かれてしまって、結果的にグループに入った会社が大きく赤字を出してしまいました。

罵声を覚悟した株主総会

―――大幅な赤字を出して迎えた今年の株主総会ですが...
 株主から罵声を浴びることは覚悟していました。そういったものが9割以上だろうと。とにかく、株主に少しでも安心いただきたい、色々とご迷惑をお掛けして、そういったお気持ちが鎮まるように、どのようにして皆さんにお伝えするのがいいかなと。もちろん、株主総会が平穏に終わるとは1ミリも想像できなかった。それがふたを開けてみると、たくさんの株主から応援いただいていて、すごくありがたかったのと同時に、それ以上に私が負っている責任を実感しました。1年後、皆さんに「信じて良かった」と言ってもらいたい。

「1年後の黒字化は100%の確信を持っています」

―――1年で黒字化できていなかったら社長を辞める?
 1年後の黒字化は100%の確信を持っていますし、足元も非常に順調になっています。13万人のお客様をずっと分析しています。すると法則性が見えてきて、再現性が確保される。そうすると、どうすれば効果的かがわかって1対1ではなくて1対100でも有効なプログラムができる。それが構築できて法人向けのサービスだとか、180以上の医療機関とも連携しながらサービスを生み出しています。

―――来年に向けて大忙しだと思いますが、ご自身の夢は?
 どん底になっても這い上がって自分で立ち上がる限りストーリーは続く、と私は確信しています。その中で人は変われるんだ、ということを証明したい。それが理念でもあるけど、社員も変われたことも見ましたし、お客様も変われたのを見ました。人ってこれだけ変われる、もっと自分自身の可能性ってすごい、ということを声に出して言いたい。

―――瀬戸社長にとってリーダーとは?
 誰にも必ずなりたい自分、なりたいゴール、作りたいゴール、そういったものがあるはずです。そういったものの存在意味を明確にして導いていける人たち、その人たちはみんなリーダーだと思います。

■RIZAPグループ
2003年、「健康コーポレーション」として創業。2012年にパーソナルジムに参入、"結果にコミットする"のキャッチフレーズが話題に。2016年に社名を「RIZAPグループ」に変更。現在、7000人以上の従業員を抱える。

■瀬戸健社長
1978年、福岡県北九州市で生まれる。明治大学商学部中退。


『ザ・リーダー』(MBS 毎月第2日曜 あさ5:15放送)は、毎回ひとりのリーダーに焦点をあて、その人間像をインタビューや映像で描きだすドキュメンタリー番組。

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