フレックス勤務やリモートワークにダブルワークの解禁。

より多様な働き方を模索し、すでに色々な取り組みを始めているところも増えてきていますが、あなたにとって理想の働き方はどのようなものですか?

今回はニュージーランドのある企業が取り組んだ“週4勤務”の導入についてご紹介します。

現在週5日働いている人からすると夢のような制度に聞こえますが、まず頭をよぎるのは“働く日が1日減ると給料が減るのでは?”ということ。

なんとこの企業は給料を減額することなく、週4勤務の導入を決めたのです。

さてその決断にはどのような背景があったのでしょうか?

働く時間は減っても生産性は変わらない!?

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今回この革新的な取り組みを導入したのはPerpetual Guardiantという従業員240名を抱えるニュージーランドの信託会社です。

2018年3月から4月にかけて、今回の取り組みの効果を検証するため、オークランド大学の研究者たちと共同で試験的に週4勤務の導入に踏み切りました。

現場に混乱をきたさないよう、まずは8週間トライアルで週4勤務を導入したところ、なんと従業員のストレスレベルが低下し、仕事に対しての満足感はアップ、またワークライフバランスが取れているという実感値を示す数値が上昇した、という驚きの結果が出たのです。

最大の収穫は、実際に働いている時間が減ったにも関わらず、生産性は落ちていなかったということ。

この結果を受け、同社はこの取り組みを永続的に続けていくことを決定したのです。

1日のうちで生産性高く働けているのは3時間未満

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同社の創設者であるAndrew Barnes氏は「実際蓋を開けてみると、この取り組みを始めてからネガティブな影響は一つもなく、良い影響ばかりです。業績も昨年より向上しているんですよ」と語っています。

そもそもこの取り組みの導入に至ったのはBarnes氏が仕事における生産性に関するある調査結果を目にしたのがきっかけだったとのこと。

以前からBarnes氏は自社の従業員が上手くワークライフバランスが取れていないのではと懸念していました。

そんなある日、イギリスの生産性の平均値に関する研究結果で、イギリス人はなんと実は1日に2時間と53分しか生産的に働けていない、という結果が出ていたのです。

また、別の研究では、職場で集中して仕事をしている際に邪魔が入ったり作業が中断されたりすると、夜充分な睡眠が取れなくなったり、マリファナなど薬物に手を出す危険性が増すという結果も明らかになっていました。

そこでBarnes氏は、“従業員に1日余分に休暇を与えてあげれば、日々仕事に支障をきたしている悩み事や雑念に対処できる時間を作れるようになり、結果として仕事の生産性が上がるのでは?”、と考え、今回の導入に踏み切ったというわけです。

生産性を意識し始めた従業員の驚くべき変化

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そこでまず手始めに、従業員に対して自らの仕事の生産性をきちんと見える化して計測し、それを上手く維持するにはどうしたら良いか考えるように指示を出しました。

すると従業員たちは早速、小さなこと積み重ねて結果を出してみよう、と様々な取り組みをスタートさせたのです。

2時間をかけて行われていたミーティングは大幅に短縮され30分に、また、不要な会議は行わなくなりました。

従業員がパソコンの前に座ってネットで暇つぶしをする時間も大幅に減少し、何か集中して仕事に取り組む際にはデスクに小さな旗を立てて、他の人から話しかけられないような工夫も見受けられました。

すると最終的には週5日働いていた時よりもスムーズに、そして効率的に仕事を進められるようになったと言う従業員が多数を占めたのです。

労働時間が40時間から32時間になった事で、従業員は休日に家族と過ごす時間が増えたり、運動や料理、またガーデニングなど余った時間を趣味にあてたりと、リラックスした時間を過ごすことができました。

オークランド大学で人事を専門とするHaar氏によると、従業員は以前よりもクリエイティブになり、勤務態度も良好。遅刻も減少し、休憩時間もしっかりと時間を守るようになったと述べています。

数値でもその効果は実証済み

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取り組み以前よりも仕事へのやる気も増し、帰属意識が強まったり、会社のリーダーシップに対する信頼度も高まりました。

大学が行なった調査によると、ワークライフバランススコアは54%から78%と24%も向上し、ストレスレベルは7%低下する、などこの週4勤務は良いことづくめだということがデータでも証明されました。

また、オフィスの電気料金は1日あたり約20%減少し、従業員満足度や生産性向上以外でも週4勤務のメリットがはっきりと浮き彫りになったのです。

Barnes氏は今回の取り組みを通して、「企業と従業員は、勤務時間で労働契約を交わすのではなく、どのような仕事を遂行し、どのようなパフォーマンスを期待しているか、に基づいて労働契約を交わすべきです」と述べています。

もちろん今回の取り組みは全ての業態、職種に対応できるわけではないかもしれません。

しかしこの企業のように1日休みを増やすことが難しくとも、今回の結果から私たちが学べることはたくさんありそうです。

上述したように、今回の調査ではひとりひとりが生産性を意識し、見える化するだけで意識や行動が変化した、という結果も出ていますから、まずは自分の仕事内容とそれにかかった時間を書き出してみたり、自分の給料を時給換算で計算してみたり、身近なことから始めてみるのも良いかもしれませんね。

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Source: FAST COMPANY, The New York Times