提供:週刊実話

写真拡大

 安倍政権が長期化し、自民党内にますます萎縮した空気が流れる中、言うべきことをきちんと言う唯一の存在が石破茂元幹事長だ。人口減少、消費税、日米貿易交渉、国家安全保障など、難問山積の現状をどう見るのか? そして“ポスト安倍”への真意を問う!

――改めて参院選はひどい選挙だったと思っています。48・80%という投票率は過去2番目の低さ。とくに選挙権年齢の下がった18〜19歳といった若者のそれは、31%と驚くべき数字でした。この無関心さ、石破さんはどう受け止めてますか。

石破 民主主義そのものの危機だと思っています。権利を持つ人がなるべく多く参加しなければ、そもそも民主主義は成り立ちません。もっとも、有権者には何が争点なのか、よく分からなかった選挙でもあった。安倍(晋三)首相も「安定かそれとも混乱を選ぶのか」と、非常に抽象的でした。対して、野党は「変革しなければダメだ」とは言うが、有権者を得心させる“なぜならば”に説得力がなかった。大体、立憲民主党と国民民主党がバトルをやっているんだから、「彼らが与党になったら何が起こるか分からん」と思うのは当たり前じゃないのかな。

――結果、メディアいわくの自民党「堅調」で終わりました。しかし、あれだけ投票率が低かったら、組織政党の自民党は圧勝して当然だったのに、公明党と合わせて与党で改選過半数がやっとという有り様でした。「堅調」ではなく「辛勝」もしくは「薄氷の勝利」が正しくありませんか。

石破 その通りだと思います。今は野党があまりにもふがいないから、「自公」両党が組んでいる限りは決定的な負けにはならないでしょうが、人心を得られるような野党が出てきたら、どうなるのかと危惧しています。慢心している状況ではありません。

――一方、石破さんの「ポスト安倍」のライバル候補ともされる菅義偉官房長官は、お膝元の秋田で自民党公認を落とした。また、岸田文雄政調会長は、2人区のやはり地元・広島で官邸と党本部から2人目の公認をゴリ押しされ、結果、自派の最高幹部議員を落とされるハメになった。総理・総裁たる者は自分の選挙はもとより、地元での支持基盤が圧倒的でなければならない。その意味では、菅さんも岸田さんも“貧乏くじ”を引いた感があります。石破さんは、応援依頼も多くなく、批判の対象にならなかったことで“無傷”で済んだ形です(笑)。世の中、何が幸いするか分からない。

石破 私の場合、地元の鳥取と島根が合区となったことで、そちらにエネルギーを注ぐ必要があり、他を多く回れないという事情もありましたからね。もっとも、「アイツを呼ぶと(政権幹部に)ちょっとにらまれるんじゃないか」ということはあったのかも知れないな。まあ、唯一の反主流派だからね(苦笑)。
(明日に続く)